階段を上ると息切れがする、重い荷物を持つのがつらくなった……。最近、体力が落ちてきたかもと感じるあなたは、加齢と運動不足で筋肉が落ちてしまい“カラダ年齢”が実年齢よりも老けているかもしれません。筋肉量が少ないと、将来転倒しやすくなったり寝たきりになったりする心配があります。さらに最近では、糖尿病や高血圧、がん、動脈硬化など生活習慣病のリスクが上がることもわかってきています。

 座りっぱなしの毎日で運動習慣はない。そんな読者は多いだろう。亀田メディカルセンターの村永信吾さんは「女性の歩き方を観察すると、下半身の筋力が低下していそうな人は多い」という。「筋肉量は下半身から減り、階段の上り下りなどの垂直運動ができなくなる。その次に、歩くなどの水平運動が衰え、歩幅が狭くなったり、ゆっくりとしか歩けなくなる。若い人でも歩くのがおぼつかない人は最近多い」(村永さん)。

 女性の場合は、男性と違い、「筋肉をつけよう」と意識をしたことのない人が多いかもしれないが、筋力不足は健康維持の点からも重要な問題だ。立命館大学スポーツ健康科学部の家光素行教授は、「筋肉量の低下は、将来的な転倒だけでなく、生活習慣病などの病気のリスクを上げる。女性は閉経後に骨粗しょう症のリスク以外にも心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化リスクが劇的に上がるが、筋肉量が少ないとさらにリスクが高まる」という。

実年齢より若い? 老けている? カラダ年齢を測ってみよう!

 イスから立ち上がる2つのテストで、今の自分のカラダ年齢を調べてみよう。「片脚立ちテスト」は村永さんが考案したチェック法。

 40~50代の目安の40cmから片脚で立つことは体重比0.6の筋力に相当する。これは、体重が50kgの人の場合、30kgを支える筋力があるということ。

 「体重比で0.6あれば、立つ、座る、歩く、支えなしで階段を上り下りできるという筋力がある。それ未満だと、急に激しい運動を始めたり、無理に長時間運動をすると関節に負担がかかって痛みを引き起こしかねない」と村永さん。両脚30秒立ち上がりテストは筋肉の瞬発力と持久力をチェックできる。

TEST 1・下半身の筋肉量をチェック 片脚立ちテスト

イスから片脚で立てるかどうか左右でチェック。「身の回りにあるイスやベッドなどが40cmの高さ。そこから片脚で立てないということは、つまずいたときに体重を支えられず、転倒リスクが高いということ」(村永さん)。

イスに浅く腰かけ、両手は胸の前で組む。右脚を伸ばし、左脚だけで立ちあがる。右ひざは軽く曲げてもいい。

TEST 2・筋肉の持久力をチェック 両脚30秒立ち上がりテスト

下肢筋力を調べるため、天理大学体育学部体力学研究室の中谷敏昭教授たちが開発したテスト。30秒続ける持久力と、素早く立ち上がる瞬間に力を発揮する速筋の力がわかる。

イスに浅く腰かけ、両足を床につけて両手は胸の前で組む。両ひざが伸びるまで立ち上がり、座る。

この人にききました
村永信吾さん
亀田メディカルセンター
リハビリテーション事業
管理部 部長

医学博士、理学療法士、公認アスレチックトレーナー。運動機能の低下を判定する「立ち上がりテスト」を含む「てんとう虫テスト」を考案、そのうち2種がロコモの判定に採用された。

取材・文/羽田 光(編集部)、写真/鈴木 宏、モデル/津山祐子
ヘア&メイク/依田陽子、スタイリング/椎野糸子、デザイン/ビーワークス

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