食品を保存するのに、ただ冷蔵庫や冷凍庫に入れるだけではダメ。同じ食材でも保存法、調理法次第でおいしさも栄養価も大きく変わる。栄養を120%とる正しい保存法と調理法を、食のプロに伝授してもらいました。

 忙しいと、つい食材を買いだめしてしまうもの。冷蔵庫に入れておけば大丈夫、と思うかもしれないが、間違った保存方法では早く鮮度が落ち、ビタミンなどの栄養が減ってしまう。冷蔵保存する際は、紙などで包み、野菜の呼吸、成長を止めて劣化を抑えるのがポイントだ。

 「肉、魚、野菜のどの食材の場合も、すぐに使わない場合は早めに冷凍してしまったほうがいい」というのは食品の冷凍による変化に詳しい東京工科大学の梶原一人教授。食材の劣化は温度と時間に関係する。「冷凍すれば、ほぼ冷凍した時点の栄養と味をキープできる」という。さらに「正しく解凍すれば、食感も、生の食材を調理した場合と大差は生じない」と同大学の阿部周司助教。正しい保存法さえ実践すれば食品の劣化を食い止められるというわけだ。

 栄養を余すことなくとるには、食材の切り方や調理法も大事。栄養の詰まった皮やワタを捨てずに「丸ごと」使う、緑黄色野菜は栄養吸収を高めるために「油ととる」などの“基本の食べ方”を覚えておきたい。

 栄養を無駄にしない食品の保存法・調理法を、日経ヘルス10月号では紹介していく。

● 栄養を120%とる【冷蔵のルール】
1. 野菜は生長点を取り除く
2. 「包んで保存」でストレスから守る
3. 「立てて保存」する

● 栄養を120%とる【冷凍・解凍のルール】
1. すぐ食べないものは冷凍で栄養をキープ
2. 栄養&うまみを「閉じ込める」

● 栄養を120%とる【食べ方のルール】
1. 皮ごと、ワタごと食べる
2. 「蒸す+油」でビタミン、カロテノイドを丸ごと吸収

冷凍しても、野菜のビタミンC量は変わらない

14種類の食材を-24℃で冷凍保存し、1カ月ごとにカロテノイド、ビタミンなどの含量を測定した。カロテノイドはサツマイモなどで、ビタミンCは春菊、グリンピースで減少が見られたが、多くの野菜で栄養の損失は見られなかった。上はビタミンC量を表にしたもの。(データ:日本食品保蔵科学会;23,1,35-40,1997より作成)

この人たちに聞きました
梶原一人教授
東京工科大学 応用生物学部高機能性食品研究室
専門は機能性食品、生物保存など。科学的知見に基づく食品開発をサポートすべく、食品に関する様々な研究を手がけ、生体関連物質の凍結保存やガラス化保存に関する研究も行う。

阿部周司助教
東京工科大学 応用生物学部高機能性食品研究室
専門は食品加工、水産練り製品、解凍。東京海洋大学海洋科学技術研究科応用生命科学専攻博士後期課程修了。東京海洋大学海洋科学系博士研究員、丸カ朝倉商店研究員を経て現職。

取材・文/茅島奈緒深 写真/鈴木正美 デザイン/野澤享子(Permanent Yellow Orange) 構成/堀田恵美

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