ダイエットがうまくいかない原因は脳にあった!? 常に食べることを考えている脳をリセットし、体の声に耳を傾けると、ダイエットは失敗しにくくなる。この方法でダイエットに成功し、20年前の体形を保っている医師に脳のリセット法を聞いた。
ダイエットを邪魔するのは脳が作り出す“偽の空腹感”
ダイエットするうえで一番やっかいなのが食欲。「食べたい気持ちを抑制するほど執着が増し、反動で食べすぎる。この悪循環に陥るのは“本当の空腹”と向き合っていないから」と話すのは、精神科医の奥田弘美さん。「太る理由のほとんどが、お腹が空いていないのに食べてしまうせい」と奥田さんは強調する。口さびしさでちょこちょこ食べたり、「食べ物を残してはいけない」「昼になったから食べる」といった習慣で食べていると、本当の空腹は分からなくなってしまう。「本当にお腹がすいているのか。どのくらい食べたいのかを自分の体に聞いて食べる」というのが、奥田さんが考え出した“ダイエット脳”のつくり方だ。
また、脳が満腹と感じるまでには時間がかかるため、腹八分くらいで箸をおくことがダイエット成功へのカギ。「体に染み込ませるには2カ月ほどかかるが、慣れれば体が欲する量だけで十分満足いくようになる」(奥田さん)。“本当の空腹感”を見失いがちな4つの脳タイプ別に、対処法を教えてもらおう。
大勢の女性・患者から聞いた精神科医奥田さんが考え出した
ダイエット脳の作り方二大心得
(1) “本当の空腹”を感じてから食べる!
(2) 満腹まで食べたら負け!
ダイエット脳とは…本当の空腹を見極め、無駄食いを抑えられる脳
「人類は歴史上、過食より飢餓の方が大きな問題だった」(奥田さん)。そのため、私たちの脳は飢餓に備え栄養を蓄えるようにメカニズムされている。ダイエットを成功させるには、クセや定着した思考パターンを変えていく必要がある。
体からのシグナルを感じ取り、「本当に空腹の時に食べて、お腹が程よく満たされたら食べるのをやめる」ようにすることで、徐々に偽の空腹感に惑わされない“ダイエット脳”がつくられる。
一度身につけばこの“やせ体質”は一生続く。奥田さんもこの食べ方を実践するようになり、20年間スリムな体形を維持している。
周りを気にしてつい食べすぎる【“べき食べ”太りタイプ】
こんなあなたへの処方せん⇒「腹八分目まで」「食事は量より質」と自分に言い聞かせて
「道徳感」や「付き合い」が絡むと、体は欲していないのに、食べてしまうことがある。「残さず食べるべき」「みんなと合わせて食べるべき」という思い込み、あなたにはない? 「食べきれない分は残す、空腹を感じるまで食べない、を実行するようになると、それまでいかに空腹を感じずに食べ物を口に運んでいたかに気づく」(奥田さん)。腹八分目を実践すると、「食べすぎた後の不快なだるさがなく、集中力も増す」(奥田さん)。少し高価でも質のいいものを選び、しっかりと味わって食べよう。
“べき食べ”太りタイプはこんな考え方をしがち
□ 出された食事は残さず全部食べるべき
□ みんなに合わせて自分も食べるべき
□ 1日3食は絶対食べるべき
□ 食べられる時に食べておくべき
取材・文/柳本 操 写真/鈴木 宏 ヘア&メイク/依田陽子
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