さようならケニア!
空港まで送ってくれたシンバが、飛び立つときに手を振ってくれました。
飛び立つ瞬間、ここケニアの自然も人も愛おしく思いながら、さみしい気持ちになりました。なぜならわたしは、次にアフリカに来るなら、新しい体験をしたいため別の国へ行きたいと思っているから。それに、日本に帰って生活が始まったら、こんな気持ちはすぐに忘れてしまうことをわかっているからです。
そのままこの小さな飛行機の中で、こんなことを考えました。
今回旅行をしてみて、「やりたいな~」という気持ちが持続しているものがあったら、試しにやってみるのはすごく良いかも、と思いました。
わたしは強い意志で「いつかアフリカに行ってやる!」と思い続けていたわけではなく、ただずっと行きたい気持ちがあったから行っただけでした。でも、いざ行ってみたら、自分にとって大事にしたいものが増えました。またがんばって働いて、お金が貯まって休みが取れたら、再びどこか遠い国へ動物を見に行きます。
帰国して人に会ったときに「視野を広げにアフリカへ行くべし」などと言えたらかっこいいですが、そういうことはあまり思いませんでした。やっぱり、貴重なお休みやお金は、人それぞれ大事にしているものに使ったほうが絶対にいいと考えているからです。
でももし、「やってみたいことはない」とか「アフリカに興味を持った」という方がいたら、ケニアを訪れることはオススメしたいと思います。
そんなことを考えながら外を眺めていたら、さみしい気持ちが回復してきて、さっそくロッジで作ってもらったランチボックスを開けました。
パイナップルジュースとパイナップルが入ってる! いつもわたしが朝食で注文していたから、そして給仕係のステラにパインアメを一袋あげたから、パイナップル好きだと思って入れてくれたようです。
思わず笑ってしまいました。「次はちがう国に行きたいから、もう来ないかも」と考えていた気持ちが、「いつになるかわからないけれど、また来たい」という思いに変わりました。ありがとう、ケニアのみなさま。
<編集部アフリカ旅行記おしまい>
文・写真/梶塚美帆