グラマラスなファーはきちんと感重視で

(C) 2017Twentieth Century Fox Film Corporation
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 ムートンのコートは袖を通さない肩掛けでまとい、こなれ感を出して。ちらりとのぞく裏地がグレンチェック柄になっていて、細部まで抜かりがない。渋めカラーで合わせると、ファーアウターが落ち着いて見える。コートの下にも別の細かいチェック柄をグレー系で着込んで、色味をそろえている。色数を抑えるのは、レトロコーディネートのポイント。胸元にボウと大玉ネックレスを重ね、コートをオフしても寂しく見せないようにしている。

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 ハウンドトゥース(千鳥格子)柄のジャケットは襟や袖にファーを部分使いであしらった。波線状のモチーフを織り込んだプチスカーフが首元のアクセントに。素肌を隠すアレンジは気品を宿すクラシックルックに導く。ファーで主張し過ぎないで、カラートーンをベージュ系でまとめた。丁寧なテーラーリングのジャケットが上品なシルエットを描く。スカーフをコンパクトに巻くのがレトロムードに見せるコツだ。

(C) 2017Twentieth Century Fox Film Corporation
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 うっすらとチェック柄を配したアウターにはファーを施して、質感の異なる素材を響き合わせ、リッチ感を演出。淡いトーンのグレーで全体を統一した。色味の近い「ニアトーン」で合わせるのは、古風なコーデを気高いムードに仕上げる上で欠かせない配慮。グレーの他、ベージュ、ブラウンなどのニュアンスカラーが使いやすい。

クラシックな1930年代の衣装も話題

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 事件の舞台となるのが、最高級の寝台列車「オリエント急行」とあって、登場人物はいずれも立派な衣装持ち。年齢層も幅広いので、1930年代のクラシックな着こなしを存分に楽しめる。

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 「ミステリーの女王」と呼ばれる作家、アガサ・クリスティーの長編推理小説「オリエント急行の殺人」を、この上ないほどの豪華な俳優陣で再び映画化。名探偵エルキュール・ポアロが列車内で起きた奇怪な殺人事件の謎解きに挑む。早々に殺されてしまう大富豪役をジョニー・デップが演じるという、何ともぜいたくな配役。女優陣もミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルスなどの有名な顔ぶれがずらり。演じる役どころも伯爵夫人、家庭教師、メイドなどさまざまで、それぞれの立場に見合った装いが披露される。

 昔っぽいテイストはやぼったいとか、古めかしいと思われがちだが、1、2点だけ取り入れれば、着姿の味わいが増す。時を経たヴィンテージの人気が日本でも高まってきて、タイムレスな着こなしは一段と浸透していきそうだから、この機会にトライしてみては。

文/宮田理江

【作品情報】
『オリエント急行殺人事件』
公開表記:12月8日全国ロードショー
配給表記:20世紀フォックス映画
著作表記:(C) 2017Twentieth Century Fox Film Corporation
URL:http://www.foxmovies-jp.com/orient-movie/