キャップでミックススポーティー

 帽子にはそれぞれ持ち味があり、エレガントなつば広帽、メンズライクな中折れ帽などを使ってムードを方向づけられる。野球のイメージが強いキャップは、スポーティーな気分を呼び込む力が強い。ただ、そのままアスレティックな着こなしに加えてしまうのは、かえって面白みを欠く。むしろ、リッチやフェミニンといった、正反対の雰囲気を帯びた装いに交わらせるほうが全体がこなれて映る。

 ファーは独特のゴージャス感があり、キャップとの適度なずれ具合が楽しめる。太めの毛糸がやさしい表情のセーター、破れ・ほつれありのダメージドジーンズもそれぞれに印象が異なるので、全体として肩の力が抜けた着姿に仕上がっている。

服が平凡なら帽子でスパイスをプラス

 帽子は目立つ。顔のすぐ上に位置しているので、そのイメージは全身に及ぶ。その強烈な影響力を生かして、割と平凡な着こなしにも動きやスパイスを加えられる。その際に意識したいのは、「帽子でムードを変える」という感覚。服の雰囲気にマッチさせすぎてしまうと、逆につまらなく見えかねない。いつものコーデを揺さぶるようなつもりで、別テイストの帽子を持ち込むと、帽子と服が互いを引き立て合って趣深い装いにまとまる。

文・写真/宮田理江