フライトジャケット

フライトジャケット 4万5000円(税抜) Nigel Cabourn
フライトジャケット 4万5000円(税抜) Nigel Cabourn

 フライトジャケットも、もともとは軍用だ。米軍の軍用機パイロットたちが着た、ブルゾン形のアウターが原型。防寒性の高さや、コンパクトなシルエットが魅力になっている。実は米軍のフライトジャケットにはたくさんのバリエーションがあり、「ボマー(ボンバー)ジャケット」は「爆撃機パイロット用」という意味だ。日本では代名詞的に使われる「MA-1」も1モデルにすぎない。リブ編みの襟と袖先は大半のタイプに共通している。

 短めの着丈は狭い軍用機内で動きやすく仕立てられていて、日本人の体形になじむ。コンパクトな着丈と朗らかな量感を生かすのが、うまく着こなすコツだ。あえてフェミニンなワンピースやスカートにクロスオーバーさせてみたい。逆に、ボーイッシュにまとめると、アクティブな着映えに整う。

ライダースジャケット

モーターサイクルレザージャケット 12万円(税抜) Nigel Cabourn
モーターサイクルレザージャケット 12万円(税抜) Nigel Cabourn

 日本では「ライダース(=乗り手)ジャケット」と呼ばれることの多いモーターサイクルジャケットは本来、オートバイ乗り向けのレザーアウターだ。「バイカージャケット」ともいう。男らしさを象徴するようなアイテムだが、ウィメンズに持ち込まれて、ジェンダーミックスのキーピースになった。

 ハードでタフなイメージがあるから、女性が着こなす場合は、残りのアイテムでライダースの持ち味を、フェミニン寄りに折り合いをつけたい。柔らかい素材のスカートやパンツ、リラックス感が漂うニットなど、ムードの対照的なアイテムがマッチする。マフラーやストールを上から重ねて、タフなレザーと異素材ミックスしたレイヤード小技も、ライダースの出番を広げてくれる。

ミリタリーやワークウエアを大人女性に再解釈

アウターの由来を理解してまとうと、着こなしにも深みが出る
アウターの由来を理解してまとうと、着こなしにも深みが出る

 英国出身のナイジェル・ケーボン氏は世界屈指のヴィンテージコレクターだ。とりわけ、ミリタリーやワークウエアに愛着が深い。所蔵する膨大なコレクションからも着想を得て提案する、ヴィンテージテイストを宿したアイテムはこだわり感が高い。もともとメンズ界の伝説的な存在だったが、ウィメンズも手掛けるようになって、さらにファンを増やしている。

 それぞれのアウターが持つ由来や雰囲気を理解してまとうと、着こなしにも深みが出る。アウターは最も目立つウエアだけに、そのイメージを弱めるようなバランス感で、残りのピースを選びたい。英国風やミリタリーなど、本来のテイストを生かしながら、アウターのムードをずらす感覚でコーディネートを組み立てれば、全体がこなれて映るはずだ。

文/宮田理江 画像協力/ナイジェル・ケーボン