私たちが「ティファニー」に心を奪われる、永遠の理由

数々の名デザインを手掛けてきたティファニー

　ティファニーは単なるジュエラーではなく、様々なデザインを手がけてきた。例えば、見慣れたドル紙幣にはティファニーがデザインした合衆国印章が今も採用されている。ホワイトハウスで使用される陶器、ファーストレディーがつけるジュエリーもティファニーが任されてきた。

ジャクリーン・ケネディ・オナシス (C) 2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

イエローダイヤモンド (C) 2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

　スポーツとも縁が深く、ニューヨーク・ヤンキースの代名詞とも言える「N」と「Y」をかたどった球団マークはティファニーから生まれた。数多くの競技のトロフィーもティファニー製が多く、全米オープンテニスの優勝トロフィーや、NFL・スーパーボウルの優勝トロフィーを担当し続けている。メジャーリーグを制したチームのメンバーに贈られる記念リングもティファニーの仕事だ。

スーパーボウルのトロフィー頭頂部 (C) 2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

　割とシンプルな形なのに、不思議と印象に残る。気品が感じられ、嫌みがない。ティファニーのジュエリーが地域や世代を超えて愛される理由の一つだ。例えば、鍵をかたどったデザインもティファニーのアイコン的存在。一目で分かる外見だが、どこかミステリアスで思慮深さを帯びている。着こなしを組み立てる際にも参考になるバランス感だ。

　映画の中ではその絶妙なデザインに至る、関係者の努力や思い入れなどがたくさんのエピソードを交えて明かされる。その一つひとつが「ファッション遺産」であり、観る者におしゃれの「知恵」を授けてくれる。

(C) 2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

文／宮田理江