色・柄で華やかさ、センスを薫らせる

(グラフィック柄)PW1838M 80×190 50%CASHMERE/50%WOOL 3万6000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション
(グラフィック柄)PW1838M 80×190 50%CASHMERE/50%WOOL 3万6000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション

 2018-19年秋冬シーズンの有力トレンドは「フォークロア」だ。「民俗調」という意味では、「エスニック」に似ているが、今回は従来よりも地域の幅が広い。東南アジアやアフリカ、中南米のイメージがあるエスニックに対して、フォークロアには北欧やアメリカ先住民族の服飾文化も含まれる。北欧の自然風景や伝統的モチーフを写し込んだストールは、飾り立て過ぎず、モダンで静かなたたずまい。思いっ切り布を広げて、「服」として着るのが賢いまとい方だ。手持ちのシャツの上から重ねれば、ストールの繊細な風合いが、淡白なシャツルックの表情をがらりと変えてくれる。

(フラワー柄)FLEUR2 90×205 100%WOOL 2万5000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション
(フラワー柄)FLEUR2 90×205 100%WOOL 2万5000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション

 秋冬ルックはダークトーンに沈みがちだが、あでやか色の花柄は退屈な見栄えを遠ざけてくれる。EPICEの代表的モチーフでは、10を超える色が適度な華やぎを添える。程よいボリュームを備えたタイプを選べば、扱い方に幅が出る。首周りにふんわりと量感を出して、小顔に見せたり、無地のワンピースに合わせてドレッシーに見せたりするアレンジでも量感が生きる。小さく畳んで、バッグに忍ばせておけば、オンとオフで装いの印象をスイッチするムードチェンジャーにもなってくれる。

(バイスクル柄)PW1840 90×200 100%WOOL 2万3000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション
(バイスクル柄)PW1840 90×200 100%WOOL 2万3000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション

 絵柄を盛り込んだストールは、その絵柄の醸し出すイメージを連れてくる。着姿にも狙い通りの雰囲気を呼び込めるから、着映えが単調になりやすい秋冬ルックの助けになってもらえる。例えば、デンマークのライフスタイルに定着している自転車を描いたモチーフはエコ的な気分を漂わせる。親しい人たちとの心地よい関係を大事にするヒュッゲライクな装いとしては、場を和ませるような絵柄を選びたい。ポスターアート風やグラフィティ(落書き)タッチなど、気張らないテイストの絵柄は着姿にファニーでのどかな風情をまとわせる。

アレンジを工夫して「服」としてまとう

(グラフィック柄)PW1835 80×190 100%WOOL 2万2000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション
(グラフィック柄)PW1835 80×190 100%WOOL 2万2000円(税抜) EPICE 2018-19年秋冬コレクション

 全体の色や模様が均一なストールが多いが、複数の色味やモチーフを併せ持つタイプなら、着こなしのバリエーションが広がる。目に触れやすいポジションに、どのカラー・柄を配置するか次第で、同じ1枚のストールから、何種類もの着映えを引き出せる。広げたり束ねたり、垂らしたり結んだりと、操り方を変えれば、さらに見た目の印象がさま変わり。黒革のレザージャケット、カーキ系のトレンチコートなど、秋冬に出番が増えるものの、武骨なテイストのアウターに重ねて、別の表情に「着せ替え」を楽しめる。

シンプルなトップスやアウターに彩りを

ストールは秋冬ルックの「プロデューサー」
ストールは秋冬ルックの「プロデューサー」

 フランス語で「スパイス(香辛料)」を意味する「EPICE」は1999年にデンマーク出身のデザイナー二人がパリで設立した。持ち味は北欧とパリのよさを兼ね備えた、グッドセンスとエスプリ、気品のバランス感。インドの職人技に裏打ちされた質感やプリント柄にも定評がある。東京・青山の直営店「EPICE 青山」では専門コンシェルジュのアドバイスを受けながら好みのストールを選べる。

 ストールは首周りの防寒小物と見られがちだが、目立つポジションにあるだけに、おしゃれのキーパーツとして活用しやすい。シンプルなトップスやアウターにも彩りやムードを上乗せできるから、秋冬ルックの「プロデューサー」役を任せたくなる。

※EPICEの一文字目のEにはアキュート・アクセントがつきます

文/宮田理江 画像協力/EPICE