トレンチコート

Theory 2016-17秋冬コレクション
Theory 2016-17秋冬コレクション

 秋冬アウターの絶対王者、トレンチコートはもはやオフィス街の「制服」とすら映る。ただし、上手に選び、賢く着こなさないと、トレンチに「着負け」しかねない。ほのかに女っぽさが薫る色やシルエットを選べば、オンとオフでマルチユースしやすい。防寒を意識しすぎてベルトまでしっかり巻くと、こなれて見えにくいから、袖を通さない肩掛けも試したい。同系色でまとめたコーディネートはコートをドレスライクに見せる。

チェスターコート

Theory 2016-17秋冬コレクション
Theory 2016-17秋冬コレクション

 着丈の長いチェスターコートは日本で定着する兆しが出ている。チェスターの持ち味はスレンダー感にある。かさばって見えがちなコートルックのもたつきをそいでくれる。せっかくのほっそりイメージを生かすなら、ベルトレスで前開けを選んで。歩くたびに風をはらむ姿が凜々しさを呼び込む。タートルネック・ニットやカラーシャツとの重ね着も首に視線を引き込んで、縦長イメージを強めてくれる。

Theory 2016-17秋冬コレクション
Theory 2016-17秋冬コレクション

ビジネスシーンのファッションを盛り立てる「セオリー」

 「セオリー」はビジネスウーマンが多いニューヨークで1997年に誕生した。コンテンポラリー(現代的)なトレンドと洗練されたシルエットを巧みに取り入れ、日本でもファンが多い。フィット感と着心地に定評があり、オフィスでも頼もしい。「着る本人が主役」という立ち位置で、ビジネスシーンの女性を盛り立ててくれるのもうれしいところだ。

 近年はオフィスルックの「作法」もずいぶん様変わりしてきた。「スーツしばり」がゆるくなる半面、相変わらず肌見せやカジュアルテイストには冷ややかなまなざしが注がれるところもあり、かえって「落とし所」が見えにくくもなっている。

 失敗しにくいアレンジのポイントは、従来のカッチリしたコーデから堅苦しさをマイナスする「引き算」の感覚。カッチリ感を削った分、どこかにオフィスっぽくない要素を取り入れると、こなれ感を出しやすい。フォルムや色、素材、ディテールなどで「仕事着」のイメージを遠ざけると、自分らしさも盛り込みやすくなる。さらにカッチリ度を下げて、自分好みのアイテムを加えれば、プライベートシーンでもまといやすくなるはずだ。

文・写真/宮田理江 画像協力/Theory