爽やかオールホワイトに強烈スローガン

 メッセージを帯びたTシャツのうち、ステートメントよりも主張の熱量が高いタイプは、「スローガンT」と呼ばれる。政治や主義などに不満を示す骨っぽい文字がプリントされるケースもある。例えば、「インスタ映え」が確実な「反トランプ」のデザイン。金髪の女性を偏重する米国大統領の言動は女性へのリスペクトを欠いた態度として批判の的になっている。その彼に向かって「私は金髪じゃないけど、それが何か?」とでも言いたげな、挑発的なメッセージを発している。

 着こなしも巧みで、袖のロールアップでプリント柄を強調。さらに、白パンツ、白スニーカーと、全身を白で整えて、主張にすがすがしさをまとわせている。手首に巻いた赤のバンダナにもトランプ政権への「NO」がうかがえる。

ファッションに「自分らしさ」を取り込もう

色や形だけでなく、主張を込めたメッセージを選ぼう

 ファッションに自分らしさを写し込もうとする動きが世界規模で広がってきた。カブリや横並びを嫌い、オンリーワンの装いを探る選択肢として、メッセージTもクローズアップされている。主張を通じて、知性や人柄を表現できる点でもメッセージTは支持を集める。

 真夏はTシャツ1枚で外出したくなるが、そこに多少のオピニオンを盛り込むだけで、服と気持ちの結び付きが深まる。Tシャツを選ぶ際に、色や形だけではなく、プリントされた文字の中身にも目を配ると、共感できるメッセージに出合いやすくなるはずだ。

文・写真/宮田理江