モードが打ち出すハイストリートに注目

MSGM 2016春夏ミラノコレクション
MSGM 2016春夏ミラノコレクション

 これまではストーリートテイストとラグジュアリー感は別物の扱いとされてきたが、近頃は両者を交じり合わせる「ハイストリート」「ストリートクチュール」の提案が関心を集める。行動的で若々しいのに、エレガントで大人っぽい。そんな入り組んだムードが人気を呼んでいる。ドレープを利かせ、細部まで作り込んだ服に、タフ感や軽やかさを帯びたスニーカーで合わせるのはシンボリックなスタイリング。腕周りに細かいひだを寄せたトップスはノースリーブであるのに、カジュアルに見えすぎない。リボン使いやギャザーディテールも繊細であでやかだ。

MSGM 表参道店
MSGM 表参道店

 盛り上がるミラノモードを引っ張る「MSGM」はマッシモ・ジョルジェッティ氏が2009年に立ち上げたブランド。日本でもファンの多い「エミリオ・プッチ」のデザインも任されている逸材だ。「MSGM」はブライトカラーを得意とし、鮮やかなプリント、遊び心に富んだデザインでも知られている。Tシャツやスニーカーにも人気が高い。着ているだけで気持ちが浮き立つようなアイテムが多く、ランウェイルックにも着こなしの参考になりそうな提案が詰め込まれている。2016年3月には東京・表参道に日本初のフラッグシップショップがオープンした。

 ガーリーやカジュアルといった「軽め」のテイストは複数のアイテムが重なると、甘ったるさやイージー感が不必要に濃くなりがちだ。望ましい「こなれ感」を引き出すには、甘めとリッチ感、ラフさと上質ムードといった、相反する雰囲気をミックスするアレンジが役に立つ。まとうアイテム数が減って、手抜き感やあっさりムードが出やすくなる夏場は特にこのミックスコーデを生かしたい。2種類のテイストに「6対4」「7対3」といった強弱をつけてやれば、目指す雰囲気に導きやすくなる。

文/宮田理江 画像協力/アオイ