◆トレンドスタイル5「ソフトユーティリティー」
ミリタリーの人気が衰えず、ワークウエアの取り入れも進む。共通しているのは実用性を重んじる「ユーティリティー」の感覚。ただし、武骨さや素っ気なさといった持ち味は薄めて、ソフトな雰囲気に着地させるのが今の操り方だ。両胸にふた付きポケットを備えたシャツや、ツールポケット付きのエンジニア風パンツ、太いベルト通しのジーンズなど、ディテールに本来のイメージを残している。ボマージャケット風のシルエットを写し取ったり、軍服に由来するトレンチコートを春夏向きに変形させたりという置き換えも試みられている。
気取らないムードを生かしながらも、肌見せやレース使いなどのフェミニン演出と組み合わせて、やさしげに落ち着かせている。ガウチョの大ヒットを生んだ、コンフォート(着心地)志向を背景に、窮屈さを遠ざけたスタイリングで、マニッシュ風味の角を丸くすると、全体がしなやかにまとまる。デニムやチノは飾らない素材感をベースにしつつ、スカーフやレースなどのたおやかな表情を重ね合わせたい。サマーレイヤードやワントーン・コーディネートに組み込むと、ユーティリティー系ウエアも大人っぽくまといやすい。