◆大判ストールで正面にボリューム

 きちんと巻くと、かえって窮屈感が出がち。だから、覚えたいのは「ざっくり巻き」。きっちり結び目をこしらえず、ゆるめにゆわえて垂らす。こうすると、無雑作感が漂ううえ、程よく量感が生まれ、装いに朗らかなリズムが宿る。大判ストールを粗めにフロントで巻いて起伏を出せば、アウターを着込んでももたついて見えにくい。マント系アウターにものどかな風情を添えた。左右アシンメトリー(不ぞろい)のスカートが好アクセントに。スリットからレッグラインをのぞかせ、着ぶくれをオフ。変形アウターからのトリッキーな袖出しも利いている。

◆マフラーで縦長感を演出

 最もシンプルな一重(ひとえ)巻きこそが難しい。きまじめに巻くとぎこちなく見えるし、ゆるく巻けばルーズに映る。こなれて見せるコツは、「左右をアンバランスに」。片側を短くして、首にキュッと巻き、余らせた側を広げて、身頃に重ねる。この際、掛けるのではなく、「着る」つもりでたっぷり広げておくと、ありきたりのマフラールックを抜け出せる。思い切って長く垂らせば、視線を縦に引き込む力が強まる。ニュートラルなマフラーの色目がゴールドパンツの主張を落ち着かせている。しっかり垂らしたマフラーが長め丈のコートと響き合って、落ち感がプラス。あごを隠して顔を小さく見せる小技も抜かりがない。

 身近なアイテムだけに、マフラーやストールには油断してしまいやすい。出がけにサラリと巻いて済ませがちだが、もう一工夫するかしないか次第で、着映えは段違い。冬本番ではみんなが使っているから、むしろ平凡に見えかねない。今回取り上げた「ベルト締め」「ショール使い」「ざっくり巻き」「左右アンバランス」の4技を組み合わせれば、着回しバリエーションは格段に増やせるはずだ。アウタールックに変化をもたらすマジックツールとして春まで賢く使いこなしたい。

文・写真/宮田理江