社会へ踏み出す「覚悟」を持つためには

 家庭に入った女性がもう一度社会に戻って活躍できる「セカンド・チャンス」社会を実現させるためには、女性側の「覚悟」も必要です。社会に出て働くことは決して甘いものではないですし、誰かに言われてやるものでもなく、自分で決めて一歩を踏み出さなくてはなりません。それには、自分の人生を生きる「セカンド・チャンス」を自分の手でつかむのだ、という「覚悟」が要るのです。

 「覚悟」を持つ上で大きな支えとなるのは、同じ思いを持つ仲間に出会うことです。家庭に入り、同じ専業主婦仲間の中にいると、周りに働いている女性がいないので、「働きたい」と思っても、どうしたらいいのか分からず、なかなか一歩を踏み出すことができません。日本女子大学のリカレント教育課程で学ぶ女性たちは、みなさんが「ここに来て同じ思いを持つ仲間に出会えたことが大きな力になった」と口にします。また、再就職を考える主婦向けの講演会などでも、「同じことを考えている女性がたくさんいて安心した」と話す人がいて、仲間の存在に勇気づけられるようです。

 「母として、妻としてこうしなくてはいけない」という役割に自分を縛りつけるのではなく、自分を見つめて何がしたいのかを模索し、自ら動くことができる。そのように人生を自分で築いていけるというのは、とても素敵なこと。子育ても経験した上で、再び社会に出て働き、「私はこんな人なんだ」「こんなこともできるんだ」と自信をつけながら、経済的にも自立できる、というのは前の世代の女性にはできなかったことです。だからこそ私は、一度専業主婦となった女性が再就職を考えられるということ自体、今の時代の新しい変化だと捉えています。もやもやしている方は、働きたいのかどうかを自分で決めて、思いを同じくする仲間を得て、ぜひ「セカンド・チャンス」へ一歩を踏み出していただきたいと思います。