国立西洋美術館について

  1959年に設立された国立西洋美術館は、フランス政府から日本へ寄贈返還された「松方コレクション」を基礎に、西洋美術に関する作品を集めた施設です。

外観 (C) 国立西洋美術館

 松方コレクションとは、明治の元勲で総理大臣も務めた松方正義の三男、松方幸次郎(1865‐1950)によって収集された美術品のこと。第一次大戦により造船で多大な利益を上げた彼は、たびたびヨーロッパを訪れては画廊などに足を運び、絵画や彫刻、家具そしてタペストリーなど、膨大な数の美術品を買い集めました。

 総数1万点にも及んだこれらの美術品のうち、パリに残された約400点は、第二次大戦の末期にフランス政府の管理下に置かれ、1951年のサンフランシスコ平和条約によってフランスの国有財産となります。しかしその後、フランス政府は日仏友好のため、その大部分を「松方コレクション」として、のちに日本へ寄贈返還することを決定しました。

 このコレクションを展示するための美術館として、国立西洋美術館が誕生したというわけです。

本館展示室 (C) 国立西洋美術館

 設計は、ル・コルビュジエ。フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」として位置づけられる建築家です。代表的な建築は、ポワッシイのヴィラ・サヴォア(1929-31)、マルセーユのユニテ・ダビタシヨン(1947-52)、ロンシャンの聖堂(1950-54)など。

 特徴は、ピロティー(柱)、骨組みと壁の分離、自由な平面、自由な立面、屋上庭園にあります。これらに加え、国立西洋美術館は、スロープで昇っていく渦巻き形の動線を展示室の中心に持っています。(※本館展示室は、施設整備のため、2016年3月18日(金)まで閉室しています。)

新館展示室 (C) 国立西洋美術館
Information
国立西洋美術館
URL/http://www.nmwa.go.jp/
営業時間/9:30~17:30(金曜のみ20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休 業 日/月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、年末年始、2016年1月12日(火)~2016年2月29日(月)

建物画像のコピーを禁じます。

文・写真/黒田隆憲