DIC川村記念美術館について

 DIC川村記念美術館は、化学メーカーのDICがその関連会社とともに収集した美術品を公開するため、1990年5月、千葉県佐倉市の総合研究所敷地内に設立した美術館です。

 同社の第2代社長であり、初代館長を務めた川村勝巳氏が、長谷川等伯の「烏鷺図屏風」(1605年以降、重要文化財)を最初に所蔵したことから始まり、1970年代初頭から収集が本格化。パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、ヴァシリー・カンディンスキー、カジミール・マレーヴィッチ、ジョゼフ・コーネルのなど20世紀美術を中心にコレクションが充実していき、現在は1000点を超える国内外の作品を所蔵しています。

 当時、日本ではまだあまり紹介されていなかった新進作家たちの作品、とりわけモーリス・ルイスやフランク・ステラなどの第2次世界大戦後のアメリカ美術にも早い時期に着目し、収集を始めたことにより、世界的にも貴重な作品を持つ美術館として評価されています。

 美術館の入り口を抜けると、天井装飾から抜け差す光とステンドグラスからの光に包まれる丸いエントランスホールに導かれ、ヴィーナス像が出迎えてくれます。印象派作品の部屋、17世紀オランダの巨匠レンブラントの貴重な肖像画を展示する部屋、横山大観、橋本関雪ら味わい深い日本画を集めた日本美術の部屋など、コレクション別に意匠を凝らした展示室があります。

 特に、抽象画家マーク・ロスコの「シーグラム壁画」と呼ばれるシリーズのうち、7点が飾られた「ロスコ・ルーム」は圧巻です。薄く何層にも塗り重ねられた独特の作品群に囲まれていると、「深い内省にうながされる」という人も多くリピーターが後を絶ちません。

Information
DIC川村記念美術館
URL/http://kawamura-museum.dic.co.jp/
開館時間/9:30~17:00
※入館は閉館の30分前まで
休 館 日/月曜日(祝祭日の場合は開館、翌日休館)、年末年始、展示替え期間

文・写真/黒田隆憲