“恋バナ収集ユニット”桃山商事の清田代表と森田専務が、恋愛の悩みに効く1冊を紹介していく新感覚のブックガイド『桃山商事の「恋愛ビブリオセラピー」』 !セックスレスの打開策について展開した前編に引き続き、今回も森田専務が「伝わるメソッド」を活用して実践的に解決策を探ります。

今回のお悩み
・パートナーとのセックスレスに悩んでいる。
・彼が、セックスレスについての話し合いに応じてくれない。
・いつかセックスレスになるのでは……と心配している。
・「性生活はマンネリするもの」となかば諦めている。
そんな悩みに効く1冊
『伝わっているか?』
(著=小西利行/宣伝会議)

有効なコミュニケーション方法を考える

■セックスについての話し合いができない、という問題

 前編では、「新しいセックス」を提案するという、セックスレスの打開策を考えてみました。しかし、セックスという言葉を出した途端に相手が引いてしまうという状況も考えられます。そのような場合には、いきなり「新しいセックス」を提案するのは難しいかもしれません。

 そこで最後に、本書の中でもコアな部分となる「伝わるメソッド」を使って、「セックスについての話し合い」を持ちかける方法を考えてみます。

 例えば筆者の知人女性・Tさんは、夫と「前にいつしたか覚えていない」ほどのセックスレスなのですが、彼女には「したい」という気持ちがあるため、彼に話し合いを何度も持ちかけました。

 しかし、彼は毎回曖昧に返事をするだけで応じてくれないそうです。Tさんは半ば諦め気味に、「なんで話し合いすらできないのか、理解できない……浮気でもしようかな」とぼやいていました。では、Tさんの夫に対してどのような「伝わる言葉」を伝えればよいのでしょうか。

■伝わるメソッド「共感図」

 前回お伝えしたとおり、自分の気持ちが相手に「伝わる」ためには、自分が伝えたいコトと相手の望んでいるコトが重なる「共感ポイント」を見つける必要があります。そのためのメソッドが「共感図」です。

 これは、下のような図に自分の気持ちと相手の気持ちを想像して書き込んでいくことで、「共感ポイントが整理されて、伝わる言葉が見つかる」という、シンプルなメソッドです。実際にやってみましょう。

(1)自分の気持ちを書き込む
 Tさんが彼に伝えたい気持ちは、「セックスに関する話し合いがしたい」です。またその背後には、「セックスしたい」という思いや性欲、女性としての自信喪失や今後への不安、コミュニケーション欲求など、さまざまな気持ちがあるはずですので、それを共感図に書き込みます。

(2)相手の気持ちを、相手の立場で考えて書き込む
 次に、徹底的に彼の気持ちを想像します。

 まず、「話し合う」ということは、言葉にして確認することです。それを拒絶する彼の態度は、「認めたくない」という意志の表れと見ることができます。

 例えば「興奮できない」のではなく、「興奮できないことを認めたくない」、あるいは「自分がセックスをしない男であることを認めたくない」といった感情が推し量れます(これは「男のプライド」ですね)。

 また、「性欲は自分でもどうしようもないから、話し合う意味がない」と、どこか他人事のように考えている可能性もあります。このように彼の立場になって気持ちを想像して、共感図にどんどん書き込んでいきます。

(3)共感ポイントを言葉にする
 最後に、二人の共感ポイントを抽出します。ここでは、Tさん自身の「悩み」と、彼の「認めたくない」という「悩み」を共感ポイントにしてみます。そこから筆者が考えたのは次の言葉です。

「私の悩みを聞いてほしい。」

 この言葉のポイントは、「彼の(性欲の)悩み」ではなく「Tさんの悩み」として話し合いを提案していることです。これは話し合いというよりもむしろ、「お悩み相談」という形です。彼が「彼女のことは大切にしたい」と思っていることは確かなわけで、それは「彼に悩みを聞いてほしい」というTさんの気持ちと重なるはず。こうすることで、彼は自分の「悩み」を「認めない」状態で応じることができます。

 また、彼がこだわっているであろう「男としてのプライド」を、「Tさんの悩みを解決できるのは、自分しかいない」という設定で刺激することもできるかもしれません。Tさん側としては、「悩み」をどうにかしたいという気持ちをダイレクトに伝えることができます。

 さてしかし、もしも上の言葉が彼に「伝わり」、話し合いを始められたとしても、Tさんはどこかで「セックスの問題」に切り込む必要があります。次のページでは、どのようにしてこの話し合いを進めていくかを考えていきます。