恋愛の悩みは欲望に行き着く!?

■失恋ホストの現場から

 我々は、恋に悩む女性の話をひたすら聞く失恋ホストという活動を行っています。相談者さんのなかには、恋愛の迷路に迷いこんでしまっているように見える方が少なくありません。その悩みも、片想いから別れまで多種多様です。

 思いつくままに挙げてみると、“数回デートした男性がいるが、向こうからアクションを起こしてこない。彼の気持ちがわからない!”、“トキメキがない男子と付き合うのってナシですか?”、“彼氏からのラインの返信が途切れがちだが、重いと思われるのが怖くて催促もできない。わがままってどこまで許されるの?”、“浮気をした彼のことがどうしても許せないのに、別れたくない”などなど、色々あります。

■“自分の欲望がわからない”

 それぞれの悩みは個別に考えていくしかないのですが、多くのケースでは、“彼の気持ち”や“世間的にナシかどうか“といった、当初前面に出ていた悩みからは離れていきます。そして最終的に、“相談者さんがどうしたいのか”“彼とどうなりたいのか”を一緒に考えることになります。

 これは我々が意図的に持ち込んでいるというよりも、混沌とした状況をみんなで整理しているうちに、いつの間にかそこに行き着いているのです。

 恋愛と欲望の関係を考えると当然の帰結なのかもしれませんが、ここで重要なのは、なぜ彼女たちが自分の欲望をとらえそこねてしまうのか? ということです。

■なぜ欲望をとらえそこねるのか?

 それはおそらく、恋愛には“約束”が多すぎるからなのだと思います。

 “女性だから・恋人だから・夫婦だから-こうでなければならない”といった規範や常識。付き合い出した当時や、結婚する時に交わした“永遠の愛”の誓い。トラブルが起こる度に増えていく2人の間の決まり事。

 そういった多様な約束に加えて、パートナーのその時々の欲望や要求も乗っかってくるため、状況はさらに複雑になります。自分の欲望がわからなくなるのも当然に思えてきます。