“恋バナ収集ユニット”桃山商事の清田代表と森田専務が、恋愛の悩みに効く1冊を紹介していく新感覚のブックガイド・桃山商事の「恋愛ビブリオセラピー」! 今回は番外編として、『男が働かない、いいじゃないか!』の著者であり、男性学の専門家である武蔵大学・田中俊之先生と語り合います。

『男が働かない、いいじゃないか!』
(著=田中俊之/講談社+α新書)

休日に何をしていいのかわからない男たち

清田代表(以下、清田) 前編では「結婚に対する男女の温度差」を例に、男女のすれ違いの原因を“社会構造”から考えていきました。

森田専務(以下、森田) 具体的には、男性にのしかかる“男らしさの呪縛”と、女性の結婚願望をあおる“賃金格差”の問題ですよね。これらを知ることが、男女のすれ違いを解消するヒントになると感じました。

田中俊之(以下、田中) 女性たちの抱えている焦燥感の背景に賃金格差の問題があることを、他ならぬ女性自身が自覚していないというケースもまだまだ多いと思います。

清田 この後編では、我々自身の経験なども踏まえながら、本書のメインテーマである「男性の働きすぎ問題」について考えてみたいと思います。

田中 よろしくお願いします。

清田 男性学というのは、こういった社会構造を踏まえた上で、「男もいったん立ち止まって、自分たちの働き方やジェンダー意識について見つめ直してみようよ」と語りかける学問だと思いますが、その一方で気になるのが、「働かなくてもいいって言われても……じゃあ俺は何をすればいいの?」って困惑しそうな男性も多いのではないかということです。

森田 本書の中でも、「何のあてもなく一日有給を取ってみると、仕事を抜きにした等身大の自分がわかる」という、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』の出版記念トークイベントで提案したジェーン・スーさんのエピソードが紹介されていましたが、清田代表の言うように、男の人には「会社の外に放り出されてもやることがない」って人が少なくないように感じます。

佐藤広報(以下、佐藤) 私が行ってる会社にも、有給をほとんど取らなかったり、いつも残業していたりする男性はホントに多いです。

田中 確かにそうですね。日本は男性に対して働くことを過度に期待する社会なので、男性は働いてさえいればとりあえず咎められない構造になっています。だから、仕事にコミットしすぎてしまい、働くこと以外に何をすればいいかわからなくなっている男性も多いと思います。

清田 その結果ますます男性が仕事に向かっていく……長時間労働を生み出す構造は、なかなかに強固ですよね。

佐藤 「男性の働きすぎ問題」って、前編で話した諸問題の一因にもなってるわけじゃないですか。でも、たくさん働けば会社でも評価されるし、例えば合コンなんかでも「ちゃんとした人」という評価を得られる。となると、男性自身がこれを自覚して問題視するのって結構難しそうですよね。

森田 そうだね。女性側からしても、夫や彼氏がいつも定時で帰ってくるようだと、むしろ「ちゃんと仕事できてるのかな?」って心配する人が多い気もする。