ライブ、動画サイト、パクリ芸…数々のチャンネルを通じた波及効果

 芸人発の流行語は広まるスピードが速い理由があります。まず、ライブの観客やテレビの視聴者に認知されると、そこから見る人が真似をし始めます。特に、子どもや流行に敏感な若い女性などの間ではいち早く広まっていきます。そして、芸人自身もそのことで話題になるとテレビなどのメディアにたくさん出るようになり、そこでまた特定のフレーズが拡散していきます。さらに、最近では、ユーチューブなどの動画サイトで、ギャグやフレーズが一般人同士の間で広まっていくこともあります。例えば、8.6秒バズーカーのネタの場合、その歌や振り付けを練習して、完全コピーしたパフォーマンスを自分たちで撮影して公開する人が続出して、それでさらに広まっていきました。

 さらに、他の芸人が真似して広がっていく、という波及効果も見逃せません。人気バラエティ番組『アメトーーク!』では「ザキヤマ&フジモンがパクりたい-1グランプリ」という企画が何度か行われています。「ザキヤマ」ことアンタッチャブルの山崎弘也さん、「フジモン」ことFUJIWARAの藤本敏史さんは、他の芸人のギャグをすぐに真似して、自分たちのものにしてしまう「パクリ芸」を得意としています。この企画では、売り出し中の若手芸人たちが自慢の芸を披露すると、すかさず2人がそれをパクって、パクリ芸としてアレンジして演じてみせるのです。「パクリ」というと聞こえは悪いですが、これは「ギャグをパクるというルール違反をあえて堂々とやってのける」ということ自体を笑いにした高度な技法です。実際、彼らにパクられるとギャグが流行するというジンクスのようなものがあるため、若手芸人たちはこのコーナーに出演すると生き生きしています。実際、8.6秒バズーカー、バンビーノ、ピスタチオなど、ここから多くの売れっ子が輩出されています。