大評判だったため、再び始まった「シーズン2」

 この番組は、2016年10月から2017年3月までレギュラー放送されていました。これが大評判のうちに終わったため、一時の中断を経て、2017年の10月から新たに「シーズン2」のレギュラー放送が始まりました。

 今のところ、「シーズン2」で最も話題になっているのは「元サークルクラッシャー」を取り上げた回です。「サークルクラッシャー」とは、大学のサークルなどで複数の男性に思わせぶりな態度を見せたり、同時に複数と関係を持ったりして、サークル内の人間関係を崩壊させてしまう女性のことです。まさに「本当にそんな人いるの?」というテーマの典型です。

 大学のサークル内で複数の男性と次々に関係を持ったという彼女の話を聞いて、初めのうちはYOUさんはいら立ちを募らせていました。しかし、トークの後半で徐々に明らかになったのは、彼女が恋愛関係でトラウマを抱えていて、それが原因でサークルクラッシャー的な行動に走ってしまった、ということでした。

 そこまで話が及ぶと、YOUさんは彼女に理解を示すようになりました。YOUさん自身にも、過去に大きな失恋をした後、自暴自棄になって遊びふけっていた時期があったからです。大学卒業後、彼女は結婚、離婚を経て、多くのことを学び、今では落ち着いて一人の男性とお付き合いをしているそうです。

 この番組が本当に面白いのは、実はこの後半パートなのです。「元サークルクラッシャー」「偽装キラキラ女子」などのキャッチーなテーマを扱っているにもかかわらず、単なる興味本位にとどまらず、なぜその人がそういう行動を取るようになったのか、その後どうなっていったのか、というところまで聞き出していくから目が離せないのです。

なぜ「ねほりんぱほりん」は深いところまで聞き出せるのか

 恐らく、一般的な民放のバラエティー番組では、このような番組の作り方をすることは難しいのではないかと思います。民放では「視聴率を取らなくてはいけない」「スポンサーの意向を気にしなくてはいけない」という制約が存在します。だからこそ、瞬間ごとの視聴率を確保するために、万人が興味を持つような印象的なエピソードだけを短く切り取って紹介する形になってしまうことが多いのです。

 しかし、NHKにはそのような制約がありません。また、公共放送であるNHKでは、民放以上に「番組に出てくる情報の裏付けをしっかり取る」というルールが厳守されています。

 この番組のスタッフは、取材対象者に対して膨大な時間をかけて取材を行っているそうです。それがあるからこそ、スタジオでのトークが盛り上がり、ゲストの内面を深く掘り下げることができるのです。

 興味本位で気軽な気持ちで見てみたら、笑ったり驚いたりしているうちに、予想外の深い人間ドラマが楽しめる。それが「ねほりんぱほりん」の魅力です。まだ見たことがないという人は、ぜひこれからチェックしてみてください。

予想外の人間ドラマが見られる、「ねほりんぱほりん」に注目です (C) PIXTA
予想外の人間ドラマが見られる、「ねほりんぱほりん」に注目です (C) PIXTA

文/ラリー遠田 写真/PIXTA

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