2000年以降のお笑いブームで、女性芸人が続々登場

 テレビに出る女性芸人の数が一気に増えたのは、2000年以降のお笑いブームがきっかけです。「爆笑オンエアバトル」「エンタの神様」「爆笑レッドカーペット」などのネタ番組が注目されるようになり、そこから新しく若手芸人が続々と現れました。北陽、ハリセンボン、友近さん、青木さやかさん、にしおかすみこさん、いとうあさこさんなど、女性芸人の新鋭たちが続々とテレビになだれ込んできたのです。

 この時期からバラエティー番組などで女性芸人の活躍がますます目立つようになったのは、女性芸人が独自のポジションを獲得していったからです。

女性芸人の強み三つ

 女性芸人には、男性芸人にはない強みがいくつかあります。一つは、下ネタをやる人が少なく、やり過ぎて下品になることが少ないので嫌悪感を持たれにくいということです。

 それから、私がお笑い界を見ていて感じるのが、男性芸人よりもお笑い界の上下関係のようなものに縛られなくて済むのもメリットだと思います。男性芸人同士だと、どうしても先輩・後輩という関係が強固にできているため、先輩に生意気なことを言うのはたとえ冗談でもあまり許されないという雰囲気があります。しかし、女性芸人はそんな男性社会の規律に縛られていないため、目上の人にかみついたり甘えたりすることが自由にできるのです。

 三つ目に、そもそも女性的な感性で作られるネタが女性にウケやすい、という利点もあります。最近のお笑い界で特徴的なのは、渡辺直美さん、ブルゾンちえみさんのように女性に熱狂的に支持される女性芸人が出てきていることです。これは、一般の女性のお笑いの楽しみ方が広がっているということを意味しています。

今後の女性芸人と、お笑い界はどうなる?

 もともと笑いが好きなのは男性も女性も変わらないはずなのですが、テレビ界もお笑い界も作る側の大半が男性で占められていたため、少し前までは受け手としての女性の存在が意識されることはあまりありませんでした。

 しかし、これからのお笑いでは女性ファンの存在がより重要になってくるでしょう。渡辺直美さんやブルゾンちえみさんが、男性から見ると不可解なほど女性に強く支持されているのはその証しです。女性芸人がお笑いの世界を広げているのと同時に、女性がお笑いを楽しむあり方もどんどん広がっているのです。

これからどんな女性芸人が出てくるのか、楽しみですね 画像はイメージ (C)PIXTA
これからどんな女性芸人が出てくるのか、楽しみですね 画像はイメージ (C)PIXTA

文/ラリー遠田 写真/PIXTA

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