有田さんの笑いの「欠点」とは?

 有田さんが理想とする笑いの形が最も分かりやすく表現されている番組が「全力! 脱力タイムズ」(フジテレビ系)です。

 本物のニュース番組のようなセットの中で、本物の文化人や専門家がバカバカしいニュースに真剣な口調でコメントをしていきます。

真面目な顔で、バカバカしいコメントをしていきます (C) PIXTA
真面目な顔で、バカバカしいコメントをしていきます (C) PIXTA

 司会の有田さんは真面目な表情を崩さず、冷静にその話を聞いていきます。

 何も聞かされずにゲストとして招かれた芸人だけが、番組全体からかもし出されるふざけたムードに違和感を持ち、一つ一つのVTRにツッコミを入れていきます。

 この種の「真面目な顔でバカバカしいことをする」というのが、有田さんの好きな笑いの形なのだと思います。

 これまでにも有田さんは、テレビ、ラジオ、その他のメディアで、こういう種類の笑いが詰まった企画をやり続けてきました。

 残念ながら、有田さんが理想とするこの手の笑いには「分かりづらい」という致命的な欠点があります。

 ツッコミが不在の状態で、真面目な顔でずっとふざけ続けていると、どこまで本気なのかが理解しづらいため、人によっては笑いどころが見つけられなかったり、笑えなくなったりする危険性があるのです。

 有田さんがテレビでこの種の笑いを追求できるのは、そこにツッコミ役がいるからです。

 「全力! 脱力タイムズ」では、何もかもふざけている空間の中で、一人だけまともな芸人ゲストがいて、その人がツッコミ役を一手に引き受けています。

 また、くりぃむしちゅーというコンビで出ている番組では、もちろん相方の上田さんがツッコミを担当しています。

 上田さんは有田さんのどんな細かいボケも見逃さず、丁寧に説明を加えながらつっこんでいきます。

 有田さんのボケの謎めいた部分が解き明かされ、そこに笑いが生まれます。