実は「劇場」こそが又吉さんの原点
この作品が掲載された「新潮」(新潮社)は、文芸誌としては異例の発行部数を記録しました。
単行本版の「劇場」(新潮社)は5月11日に発売されます。
売れない劇作家が主人公の恋愛小説で、「火花」を書く前から執筆を始めていたといいます。二作目の「劇場」こそが作家としての又吉さんの原点となる作品なのです。
又吉さんの芸人としての魅力は、何と言ってもその異様なまでの繊細さにあります。
「アメトーーク!」の「気にしすぎ芸人」という企画に出たこともある又吉さんは、感受性が豊かで他人の心の動きに敏感過ぎるために、時として考え過ぎて深みにはまることがあります。
例えば、大家さんに家賃を払いに行くとき、派手な色の服を着ていると色移りして部屋を汚すのではないかと思われるかもしれないので、あえて地味な色の服を着るそうです。
また、トイレが目当てでデパートなどのお店に入ってもわざと少しだけ店内を見ているふりをするとか、ボウリングでストライクを取った後にどんな顔をして振り向けばいいのか分からなくて困る、などと語っていたこともあります。
そんな又吉さんは、学生時代に太宰治の「人間失格」を読んで衝撃を受けました。