実は、ゆいPさんとオカリナさんは対照的な性格です。ゆいPさんは、仕事では自分が先導して周りをグイグイ引っ張っていくような、いわゆるキャリア女性の典型のような人物です。おかずクラブにおいては、高い目的意識を持っているリーダー格のゆいPさんが、のんびり屋のオカリナさんを叱咤激励して、コンビをあるべき方向へ導いていくのです。ゆいPさんは、トーク番組やインタビューなどでもハキハキと自分の考えを述べることが多く、その生真面目さは画面を通しても伝わってきます。「痩せたら女優の平愛梨に似ている」と自称するその顔立ちも、どこか凛とした感じがあり、「できる女」の風格が漂っています。

 一方、オカリナさんは、それとは正反対のマイペース人間。周囲の目を気にせず、自分の趣味の世界に閉じこもって、明るく楽しく生きています。見た目が特徴的なので、バラエティ番組などではリアクションを期待されてドッキリを仕掛けられることもありますが、どんなにだまされたりイジられたりしても、淡々とした態度を崩さないのがこの人のいいところ。声を張ってツッコんだり、無理にボケようとしたりするガツガツした感じは一切ありません。オカリナさんが何も言わずただそこにいるだけで、見る人が思わず微笑んでしまうような、不思議な存在感を持っています。

 いわば、おかずクラブは「意識が高いバリキャリ女性」と「マイペースな癒やし系不思議ちゃん」の2人から成る絶妙なバランスのコンビなのです。2人とも、単に愛嬌があってかわいいだけではなく、社会を生き抜くために必要なたくましさもきちんと備えています。女性の生き方も多様化している現代において、おかずクラブはそれぞれが別々の形で女性の理想的な生き方を体現しています。それが、彼女たちが多くの女性視聴者に愛される理由のひとつだと思います。

 彼女たちの代表作となっているコントは、自分がかわいすぎるから男性にセクハラされるのだと誤解しているオカリナさんをかばって、友人役のゆいPさんが目の前の男性に濡れ衣を着せて、「これがお前らのやり方かー!」と絶叫するというものです。自分の世界に入り込むオカリナさんと、外に向けて強く自己主張するゆいPさん、というそれぞれの個性が生かされた内容になっています。

 おかずクラブもすっかり売れっ子になり、最近はそれぞれ単独で見かけることも多くなりましたが、やはり2人が本領を発揮するのはコンビとして揃ったときです。新しい時代の、新しい世代の女性芸人として、今後もしばらくはその地位が揺らぐことはなさそうです。