2018年の3月で、「とんねるずのみなさんのおかげでした」が終了します。ウッチャンナンチャンやダウンタウンと同世代であり、お笑い界の重鎮であるとんねるず。現在のテレビ番組やお笑い界にもたらした功績は、どんなものなのでしょうか。お笑い評論家のラリー遠田さんが解説します。

スポーツ選手とも仲が良く、正月特別番組「とんねるずのスポーツ王は俺だ!」では対決を挑んでいます (C) PIXTA
スポーツ選手とも仲が良く、正月特別番組「とんねるずのスポーツ王は俺だ!」では対決を挑んでいます (C) PIXTA

 この3月に、フジテレビを代表する二つの人気バラエティー番組が終了を迎えることになりました。その番組とは「めちゃ×2イケてるッ!」と「とんねるずのみなさんのおかげでした」です。いずれも20年以上にわたって多くの人に支持されていた人気番組だったため、その終了を惜しむ声が相次いでいます。

 「とんねるずのみなさんのおかげでした」は、とんねるずの二人が現在持っている唯一のレギュラー番組です。これがついに終了してしまうということで、二人が今後どういう活動をするのかということにも注目が集まっています。

 あなたはとんねるずという芸人にどういうイメージを持っているでしょうか? 彼らは長年にわたって熱狂的なファンに愛されてきた一方、「偉そう」「暴力的」などといった理由で一定の層からは嫌われています。「日経エンタテインメント!」の「嫌いな芸人ランキング」では、とんねるずの石橋貴明さんが2016年、2017年に2年連続で1位となっています。とんねるずはなぜそこまで嫌われてしまうのでしょうか。そして、彼らの本当の魅力はどういうところにあるのでしょうか。

 とんねるずの笑いの原点は「部室」にあります。スポーツの名門である帝京高校の野球部とサッカー部の出身だった彼らは、高校生の頃から物まねやギャグで周りにいる友達を楽しませる明るいキャラクターでした。特に石橋さんは芸能界への関心が高く、素人参加型のお笑い番組にたびたび出演して、華々しい活躍をしていました。「TVジョッキー」という番組では、当時素人だった俳優の竹中直人さんを打ち破って優勝を果たしています。

 そんな石橋さんは、コンビでの参加が義務付けられていた「所ジョージのドバドバ大爆弾」に出るために木梨憲武さんを誘いました。これがとんねるず結成のきっかけになりました。

 デビューしてからの彼らは、なりふり構わない暴力的な芸風で話題になりました。当時の若者に人気があった「オールナイトフジ」「夕やけニャンニャン」などに出演した際には、一般人にも容赦なく暴言を吐いたり、スタジオの観覧席に飛び込んで乱闘を繰り広げたり、何をするか分からない危なっかしい魅力を放っていました。

 彼らはこのような芸風を貫き、自分たちの芸は「素人芸」であると公言していました。普通の芸人は漫才やコントなどのネタを考えて、劇場でその芸を披露して腕を磨いていくものですが、とんねるずはそのような「プロ」の芸人の王道を行こうとはしませんでした。あくまでも「目立ちたがり屋の素人がふざけているだけ」というスタンスを崩さなかったのです。その分だけ、彼らは自由奔放に振る舞うことができました。そして、それが当時の若者にはたまらなく魅力的に見えたのです。

 特別な芸があるわけでもなく、顔がいいわけでもなく、歌やダンスがうまいわけでもない。そんな何も持たないただの「素人」が、強がって共演者や観客に暴言を吐いたり、自由に暴れ回ったりする姿は、今よりずっと敷居が高かった芸能界では異彩を放っていました。