共演者が内村さんについて語るとき、必ず出る言葉とは

 内村さんの人気の秘密は、何と言ってもその優しさでしょう。一般の人や共演者が内村さんの魅力を語るときによく出てくるのがこの「優しい」というキーワードです。

 そもそも内村さんは、芸人には珍しく話し方が柔らかく、共演者に対してきつく当たることがありません。芸人であれば、時には笑いのためにあえてきつい言葉を掛けたり、頭をはたいたりすることもあるのが普通ですが、内村さんはほとんどそういうことをしません。司会をしていても、一歩引いたような目線で、共演者のやることを温かく見守っています。

 また、内村さんのコント番組では、エンディングで出演者がそろってコントの収録を振り返るトークをするのがお決まりになっています。内村さんを囲んで出演者たちがあれこれ語り合う様子は、とてもリラックスしていて楽しそうです。そこには家族のような温かみが感じられます。

 内村さんはもともと映画監督志望で、芸人になってからはコントをやることだけにこだわってきました。逆に言えば、コント以外の番組をやるときには、自分のこだわりをそれほど強く出そうとしません。内村さんやウッチャンナンチャンのこれまでの出演番組の多くは、彼らが個性を生かして輝くというよりも、番組の企画に彼らがうまく合わせていくタイプのものが目立ちます。

 内村さんはそんな過程を経て、自分が前に出ずに、共演者の個性を引き出す司会術を身に付けました。乱暴な振る舞いやちょっとした失言や暴言がすぐに炎上して問題になりがちなこの時代には、内村さんの一歩引いたマイルドな芸風が合っているのかもしれません。

 内村さんの下では、共演する芸人やタレントは伸び伸びと振る舞うことができます。そこに「内村ファミリー」という雰囲気がつくられていきます。

 現在も放送されている「内村てらす」(現在はSeason2)という番組は、内村さんが才能を秘めた若手芸人にスポットを当てて「照らす」という趣旨ですが、まさに内村さんはお笑い界の太陽そのもの。その場にいるだけで心地よい雰囲気をつくってくれるのです。

周りを照らすことが得意な、唯一無二の存在です (C) PIXTA
周りを照らすことが得意な、唯一無二の存在です (C) PIXTA

文/ラリー遠田 写真/PIXTA

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