無理やりでも女性サクセッサー(後継者)を探し出す

――実力もあり意欲的な女性をあらかた昇進させると、候補者が尽きてしまってそのあとが続かないという「女性活躍の踊り場」のような状況に陥る企業も散見しますが、カルビーはどうでしょうか。

高橋:当社では、年に1回、本部長のサクセッサー(後継者)を紹介するサクセッションワークショップ(WS)を開催していますが、そこに女性サクセッサーのコーナーを設けるようになりました。

――女性サクセッサーのコーナーですか。

高橋:そのWSには、会長、社長、役員など20人くらいが参加しますが、まだ本部長クラスの女性サクセッサーはなかなかいないので、部長や課長の後継者となる女性たちを紹介するコーナーをつくってもらったんです。人事が働きかけて各地域事業本部から後継者候補の女性を挙げてもらい、WS当日は「この人はこういうところがいいのでこういうふうに育てたい」ということを担当役員に言ってもらうようにしています。そのようにすると、当然、女性サクセッサーは注目されます。そうするとその後でプロジェクトの立ち上げとか外部研修とか何かあたっときに、彼女はどうだろうと名前が出る。自然と育成機会が増えるんですね。

――女性管理職の候補者をバイネームで経営層に個別認識させる仕組みということですね。

高橋:そうです。まず経営層に女性を個別に認識してもらうことが重要だと思っています。なぜなら、女性は男性に比べて転勤や異動が少ないので、そもそもその人を知っているという人の数が限られてしまう。注目される機会がないんですね。注目されないと育成機会も生まれない。名前も知らなければ候補者にもなりません。ですから、まず注目される仕組みをつくろうと思いました。地域に人事担当者がいますので、その人たちにお任せして女性サクセッサーを出してもらいます。なかなか出て来ないところもありますが、無理やりでも出してもらうことが肝要だと思います。

 ほかには課長候補の女性を対象にキャリア研修をしたり、新任女性部課長を対象にした執行役員によるメンター制度を導入したりしています。また、女性執行役員4人を中心にしたアネゴネットワークを運営し、女性管理職の日頃の悩みに答える場も設定しています。「ひとりで悩まないで」というメッセージを送ることが大事だと思っています。

(取材・文/麓幸子=日経BPヒット総合研究所長・執行役員)

毎年、ダイバーシティ・フォーラムを開催。全国各地から300人が集結。ダイバーシティへの理解を深めるためのイベントで、雇用形態に関係なく希望者は誰でも参加できる。
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日経BPヒット総合研究所では2月2日と3月4日に女性活躍先進企業が取り組む「ダイバーシティ管理職研修」と「女性リーダー育成研修」体験会を行います。
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