冷えを引き起こす体質別のケアを
中医学的3つの処方箋
ここでは、冷えタイプ別の生活養生法と漢方薬をご紹介。漢方薬は代表的なものを挙げたので、中医学に詳しい専門家がいる漢方薬局などで相談すると、より自分の体質に合うものに出合える。
自分に必要な対策は何かを知るために、3つの冷えタイプをチェックしてみよう。タイプごとの症状、不調で多く当てはまるものが、あなたの冷えタイプといえる。
現代女性に最も多いのが、体温を保つ「気」と「血」の両方が不足する「気血不足(きけつぶそく)」タイプ。35歳以降、更年期に向けて現れやすいのが「脾腎陽虚(ひじんようきょ)」タイプ。ストレスにさらされやすい人は「気滞血お(きたいけつお)」タイプになりやすい。本格的な寒さが到来する前に、今からしっかり根本的な冷え対策を始めよう。
さまざまな不調が悪化する
・免疫力の低下
・妊娠力の低下
・不眠
・便秘
・頻尿
・肩こり
「冷えた部分にカイロを貼るなど、外側からの一時の対処では根本解決にはならない」と王さん。冷え体質は妊娠力の低下につながりやすく、臓器の活動を弱めて便秘や頻尿のもとに。血の巡りが悪くなると肩こりも慢性化する。冷えを「体質」とあきらめず、生活習慣から改めて。
【1】体を温める気と血が不足する
気血不足(きけつぶそく)タイプ
□ 血色が悪い、立ちくらみがある
□ 髪の毛のツヤがない
□ 月経不順、経血の量が少ない
栄養やエネルギーを運び巡らせる「気」と「血」が不足。月経で血を失うことから、女性は共通して、このタイプになりやすい。特に手足の末端やお腹に冷えを感じる。
1日に1回は肉を食べ、体温のもととなるたんぱく質を補う
ダイエットによって栄養が不足すると、気と血がさらに消耗され、冷えが悪化する。体温のもとになるたんぱく質をしっかりとろう。1日1食は肉料理を。中でも温め作用が強い羊肉がお薦め。体を温めるショウガも取り入れて。気と血は夜作られるため、しっかり睡眠を。
【2】体温を作り出す力が不足する
脾腎陽虚(ひじんようきょ)タイプ
□ 代謝が悪く、むくみやすい
□ 胃腸が弱く、下痢をしやすい
□ 夜間トイレに2回以上行く
体温やエネルギーを生み出す「脾」「腎」という2つの臓器の力が低下し、体を温める力が低下。全身が冷えるのが特徴で、下痢をしやすくなったり、むくみや腰痛も現れやすい。
胃腸をいたわり、体を温める対策を
冷たい飲み物、刺し身などは消化しにくく胃腸に負担をかけるので控えめに。香辛料や薬味を意識的に使い、温かい食べ物を。服装にも注意。体温は頭と背中の部分から逃げやすいので、秋口から帽子やスカーフを巻いて体を温める工夫を。腰まわりもブランケットで保温しよう。
【3】気血がうまく巡らず、手足だけが熱くなる
気滞血お(きたいけつお)タイプ
□ 月経痛、肩こり、頭痛がある
□ 子宮筋腫や子宮内膜症がある
□ イライラしやすい
気が滞って全身への巡りが悪くなるため、手足が熱くなり下半身が冷える。ストレスがある人に多い。イライラしたり、目が充血し、頭痛や月経痛にも悩みやすい。
香りを取り入れたマッサージで巡りアップ
気と血を巡らせる特効薬は、運動。週に2~3日、少し汗ばむくらいの運動を行い、巡りを改善しよう。ジャスミンティーやアールグレイなど香りのいいお茶も取り入れて。好みのアロマオイルで足の甲をマッサージすると、末梢の循環が良くなり、ストレス解消効果も得られる。
構成・文/柳本 操、イラスト/朝倉めぐみ
日経ヘルス 2015年11月号掲載記事を転載
この記事は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります