4. 十分な睡眠をとって「意志力」を保つ

 忙しいとついつい作業時間を確保するために睡眠時間が削られます。しかし、それは私たちが想像する以上に大きな影響があります。

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[引用]ヴィンス・ロンバルディは「疲労は私たちをいくじなしにする」と言っている。特に自制力が損われ、すぐに得られる満足感を常に求めるようになる。一番理想的な睡眠習慣は、厳密な就寝時間を決めることだけでなく、消灯30分前からリラックスすることである。
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5. 一番大事な仕事は朝一番にやる

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[引用]私たちのエネルギー資源は日が進むにつれて徐々に減っていく。1日の後半に一番大変な仕事をやろうとするのが難しいのはこのためである。
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 人間のエネルギーのピークは朝です。そして、日が進むにつれて効率が悪くなっていきます。つまり、朝一番にやる仕事がもっとも効率がいいのです。また、朝の方が邪魔も少ないでしょう。Schwartzは1日のうちでもっとも多くの仕事量がこなせるのは朝の90分だと主張します。1日の残りの労働時間と比較しても、朝一番の方が処理できる仕事量が多いと言うのですから、この時間は何にも変えられません。

6. 栄養価のある食べ物を頻繁に少しずつ摂る

 驚くことに食べ物と意志力には相関関係があります。栄養が不足していると人間は意志力が低下し、誘惑に負けやすくなるのです。

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[引用]食べ物-具体的にはブドウ糖-は意志力の源である。しかし、身体は一度に限られた量しかブドウ糖を処理することができないため、最低でも3時間に1度は補給する必要がある。糖類や単純炭水化物は一気にエネルギーが上昇するものの、持続されないが、一方で脂身の少ないタンパク質や複合炭水化物はより安定的、持続的なエネルギーないし意志力の源になる。
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7. マルチタスクで仕事をしない

 私たちの生活はますます忙しくなっています。そんな状況で多くの人がやりがちなのがマルチタスク。人間はひとつのことにしか集中できません。つまり、マルチタスクは非常に効率が悪いのです。忙しい時こそ、一気にではなく順番に仕事をこなしていきましょう。

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[引用]メール、書きかけのテキスト、人の応対、情報の処理。私たちは絶え間なくいろいろなこと処理しなくてはいけない。そのため、すべてをこなすには同時に複数のタスクをやるほかないと思い込む。実際のところ、タスクの間を行ったり来たりすることでいわゆる「切り替え時間」というものが生じる。ひとつのことから別のことに集中を切り替えなければいけないため、最初のタスクを終える時間が平均で最低でも25パーセント増加する(*)
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8. 90分間周期で仕事をする

 人間の集中力には限界があるため、当然パフォーマンスにもムラが出てきます。Schwartzによると理想の集中時間は90分。それ以上はパフォーマンスが低下していくため、非常に効率が悪くなります。

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[引用]人間はコンピューターのように延々とハイスピードで働くことはできない。むしろ、エネルギーの消費と補給を繰り返すようにできている。私たちは1日を分節する90分周期「ウルトラディアンリズム」で生理的な覚醒から疲労状態へと徐々に移行していく。1度に最大90分間(理想的には邪魔を伴わない状態で)高い集中力を持続させるのが良い。90分間経った後は、最低でも数分間はしっかり休むこと。心をリラックスさせ、脳を休め、身体のエネルギーを取り戻すためだ。
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 1から8まで全部やったものの効果がないという人は、最悪生産性を上げることを一度諦めましょう。一見、本末転倒なアドバイスのように聞こえますが、私たちは時間効率や生産性に執着し過ぎています。

 もちろんいろいろと手を尽くすことも重要ですが、どうにもこうにも上手くいかない時に無理をすると余計仕事に身が入らない状態から抜けられないこともあります。スランプに陥った絵描きと同じです。絵が描けないのなら、本を読んでみるといいかもしれません。ただぼーっと絵を眺めてみるのもいいでしょう。欲張りな現代人は時には「手放す」ことも必要なのです。

99U「A Master Plan for Taking Back Control of Your Life」」(Tony Schwartz著)をもとに翻訳、再構成

翻訳・構成/相磯展子