「叱ること」と「怒ること」は違う

 「叱る」ことと「怒る」ことは違うものだと思います。ここでは仮に、部下の成長や状況の改善につながる行為を「お叱り」、単なる感情の発散を「怒ること」としましょう。この二つから得られる結果は異なります。あなたが「お叱り」だと思い込んでいることは実は「怒り」の発散だったりしませんか? 

 効果的な「お叱り」をするには、叱る側の「ギアチェンジ」が必要となってきます。私たちが誰かを「叱る」ときは、下記のような二つのステップを経ています。

1. 怒ること
「こんなことをするなんてありえない」、「常識がない」といった、あくまでも相手の行為に対する自分中心の視点です。おそらく多くの人がこの姿勢から部下や後輩を「叱っている」のではないでしょうか。

2. お叱り
自分中心の視点から一度抜けて、相手の視点に立って物事を見ることができる状態です。ここでは自分の意見を持ちながらも、相手の視点に寄り添い、言い分を聞く余裕がある状態です。感情が落ち着き、状況に冷静に対処している状態でもあります。