この連載では翻訳・通訳者の相磯展子がNY発Webby Awards受賞サイト99Uや英語圏サイトのライフコーチ、ビジネスパーソンなどの仕事のノウハウを紹介。30代女性が仕事で直面する悩みや課題に立ち向かうためのアイデアやヒントを発信していきます。

 あなたは上司に不満を持ったことがありますか? また、逆にリーダーに指名され戸惑っていませんか? リーダーシップは誰もが求めるものの、それが具体的に何を意味するのかは誰も分かっていないかもしれません。

 良い仕事を実現するための大きな要となるのは、能力以上にチームワークやモチベーションです。しかし、これらは多くの組織で個人の努力に任せるものだと考えられていることも。実は良いリーダーシップとは、こうしたチームワークやモチベーションを引き出す能力のことなのです。

 有能な社員を雇うことは多くの企業の関心ごとですが、その人材を最大限に生かすかまではあまり考えられていません。むしろ、チームワークやモチベーションを引き出すための努力は負担だとさえ思われています。

 これはアプローチの問題もあります。既存のトップダウン型のリーダーシップでチームメンバーのスキル、モチベーション、野心や性格を十分に引き出すことに限界があるのです。ではどうすれば本当の意味でのリーダーシップをとることができるのでしょうか?

良いリーダーはチームを引っ張らない

 まず、良いリーダーはすべてをコントロールしようとしません。むしろ、仕事をプロジェクトメンバーに全面的に任せる器量があるのです。99UライターのScott McDowellは次のように指摘しています。

[引用]新米リーダーにとっては直感に反するが、最も効果的なリーダーシップは脇へ退き、周囲の人たちに仕事をさせること。俊敏でクリエイティブな組織では、仕事はプロジェクト単位で進行し、プロジェクトに対して一番関心を持ち、能力的に最も適している人が引っ張っていく。それは年齢、経験や肩書きは関係ない。リーダーとして成長するには、プロジェクトに対する責任を手放すか、少なくともそれを他の人と分けることだ。(*)

良いリーダーは指導しない

 「出来の悪い」部下は手取り足取り指導するのではなく、むしろ責任を持たせるべきです。そうすることによってそれまで見えなかった能力が伸びていきます。McDowellもこの点を挙げています。

[引用]仕事の責任というのはすばらしいモチベーションになる。それによって予想もしなかった才能が開花したりするのだ。さらにそれは本当の意味でのコラボレーションやチームワークを促す。(*)

何もしないのが良いリーダーということ?

 となると良いリーダーはますます何もしないということになりますが、McDowellによると実際にそうなのです。ただし、「何もしない」というのは目に見える仕事はしないということ。そのかわり、周囲に目を向けることが必要不可欠になってきます。

[引用]マネージメントは大変な仕事のように思えるかもしれない。しかし、新米リーダーが取るべき戦略はなるべく自分では手を動かさず、もっと周囲に注意を向けることだ。(*)