アメリカで注目が集まっている「ハピネス研究」。これは「働く人の精神がどう仕事に影響するか」についての研究で、実践の場でも取り入れられています。本連載では、翻訳・通訳者の相磯展子が、「ハピネス研究」をはじめとする海外の仕事観を紹介していきます。

 最近「棚からぼた餅」と思えるようなチャンスに遭遇しました。トークイベントと2000人以上の観客の前で話をするストーリーテリングイベントに参加しないかと海外からお声がかかったのです。本番で緊張するかと思いきやどちらもスムーズにいったのですが、トークイベントではついつい無駄口をたたいてしまいました。

 それは「私はまだキャリアが浅いから」といった主旨のことを繰り返してしまったことでした。

 現地で知り合った香港出身の人に指摘されハッとしました。西洋と東洋の価値観を両方備えていた彼女は私の中に自分の姿を見たのでしょう。「昔の私もそうだったんだけど、あなたはステージに立って話しているのだから、そんなことは言う必要は全くない」と言われました。おっしゃる通りという感じです。それは「しまった!」という気持ちと、そんなことをわざわざ言ってもらったことのうれしさが同時に込み上げてくるエピソードでした。