1. 批判から分かるのは自分ではなく、批判をしている相手

 厳しいフィードバックを受けた時、私たちはそれを個人的なこととして受け止めがちです。自分が否定されている気持ちになってしまい、そこから抜け出せなくなってしまうのです。

 しかし、この認識は間違いです。女性のリーダーシップエキスパートのTara Sophia Mohr(タラ・ソフィア・モア)は、批判からは自分のことは「何も分からない」とまで言い切っています。むしろそこから分かるのは批判をしている側についてなのです。

[引用]フィードバックから自分のことが分かるわけではない。むしろ、フィードバックは批判をしている側についての何かを明らかにしているのだ。例えば、最近担当したプロジェクトでの仕事ぶりが良くなかったという評価を上司から受けたとしよう。ここで質問。これから自分の仕事や力量について何かが分かるだろうか? 私は何も分からないと主張したい。むしろ、ここから分かるのは上司の優先事項や好みだ。

 こうやって批判を見てみるとどうでしょうか? 少し距離を置いて状況を見ることができませんか? 「批判からは自分のことは何も分からない」という一見大胆なスタンスをとることは、批判の負のスパイラルから抜け出すためのひとつのカギです。

[引用]フィードバックから分かるのは評価をしている側についてだけだということが分かると自由になれる。《中略》そうすると批判は単に自分が評価を受けたい人(上司、クライアント、同僚、作品の鑑賞者など)から評価されるための有用な情報に過ぎなくなる。

 批判と上手に付き合うためには、それが決して自分自身についての評価ではないことを理解しておくことが必要です。Mohrが言うようにそれは「自分が他人にどのように映っているか、ある特定の人物や集団に対して有効な働きかけをするにはどうしたらいいのかを明かしてくれる」ものに過ぎません。