2014年ころから、恋愛ドラマ離れが叫ばれてきている。その理由としては、月9の視聴率の不振や、テレビ朝日系の『ドクターX』シリーズのような非恋愛ドラマが好調であること、そして若者の交際率が低下している事象から恋愛ドラマへの興味がうすれているのではないか――などが考えられる。しかし、それは本当なのだろうか? 人気評論家の西森路代さんが恋愛ドラマのトレンドを分析した。

 恋愛ものはもうはやらないと言われて数年。私の実感としても、映画にはなるが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のように、無理に恋愛に落とし込まなくても、濃密な人間関係を書いたものがあれば、それはそれでいいと思っていた。

 それどころか、女性に興味を持たせるためにという理由から、恋愛がなくても成り立つ物語の中に、無理やり恋愛を入れたものがあると違和感を持つこともあった。

 そういう意味では、『シン・ゴジラ』に恋愛要素がなかったことは好感が持てたし、家族などの背景が見えないなどという声もあったが、細かく見ていけば、ちゃんと人間模様が見えてくる作品だと感じた。『ズートピア』にしても、ウサギとキツネの男女間の相棒(バディ)というものが、うまく描かれていたと思う。

人々の興味関心があるのは、どんな恋愛ドラマのカタチ? (C) PIXTA
人々の興味関心があるのは、どんな恋愛ドラマのカタチ? (C) PIXTA

 しかし、今年の邦画を振り返ると、『君の名は。』をはじめ、『orange-オレンジ-』『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』『四月は君の嘘』など、若者をターゲットにした恋愛もののヒットも例年と同じように見られた。

 仕事で20代前半の俳優に取材することが多いが、彼らの10代前半にはすでに『花より男子』や『花ざかりの君たちへ~イケメン パラダイス~』などが放送されていたり、少女漫画を読むことにも抵抗がなかったりするということで、キュンキュンする作品を男性同士と見に行くことも多いというエピソードを何度も耳にした。もしかしたら、職業柄、胸キュンに興味があるということもあるかもしれないが、30代の俳優からは、そんな話は聞かないので、やはり変化と言ってもいいだろう。