風見さんの「イケメン」部分と「弱い部分」

 その後は、「この人、すごくちゃんとした良い人なのかも?」と思わせるシーンが増えてきました。私が具体的にそう思ったのは、平匡とみくりの新婚の家に、同僚の沼田さんと風見さんの二人が訪れ、雷のハプニングで、二人がそのまま泊まることになった時のことです。

 ここでの風見さんの言動が印象的でした。ゲイの沼田さんと風見さんを二人きりにさせまいと、平匡がその間で寝ていたとき、風見さんは「その気のない相手に襲い掛かったら、男女問わず犯罪ですよね」とさらっと言ったのです。こういう偏見のなさは、ほかの回でも見られました。

 例えば、会社で沼田さんのことを「男目線と女目線の両方を持っているというか」と平匡がいうと、「ゲイだからどうこうじゃなくて、沼田さんは沼田さんなんですよ」と指摘。みくりたちが契約結婚と知ったときも「普通はしませんよね」というみくりに対して、「普通って誰が決めるんだろう、くだらない」と言ったりもします。

 こういった言動からは、世間の価値観には流されない姿勢が感じられます。風見さんのような偏見のなさは、これからの「モテ」にはより重要になっていく要素かもしれません。

 ところが、風見さんには弱点もあります。イケメンで女の子が喜ぶことをさらっと言えてしまうことから、口からでまかせを言ってるように誤解されてしまうこともあるのです。百合ちゃんからも、「むかつくイケメン」と言われていました。

 そのせいで、「本気にされない。遊んでると思われる」「津崎さんは見た目も中身も誠実だから、真面目な恋が手に入る」けれど、自分はそうはいかないという悩みもあるのです。自分自身は頑張っていても、見た目とスマートな言動があだとなって何か必死さを伝えられないところは、風見さん自身も感じている弱さなのでしょう。