実はコミカルな役もハマる石田さん

 そんな百合ちゃんを演じている石田ゆり子さん。このキャスティングには、ドラマのスタート時から、「ぴったり」という声が多かったのですが、見ていくうちに、石田さんしかないという気持ちになりました。

 実は石田さんは、普段はシリアスな役が多く、「コメディがやりたい」と番組がスタートする直前に出演した『新チューボーですよ!』で発言していました。この番組を見ていたときは、確かにシリアスな役が多かったなと私自身も納得していましたが、『逃げ恥』を見てからは、シリアスなイメージなんてあったっけ? というくらい、百合ちゃんをコミカルに演じる石田さんを自然にとらえていました。

 第9話に、「私みたいなアラフィフの独身女だって社会には必要で、誰かに勇気を与えることができる。あの人が頑張ってるなら自分ももう少しやれるって。今ひとりでいる子や、ひとりで生きるのが怖いっていう若い女の子たちに、ほらあの人がいるじゃない、結構楽しそうよって思えたら、少しは安心できるでしょ」と百合ちゃんが語るシーンがあります。

 このセリフの直後に、大谷亮平さん扮(ふん)する風見涼太が「そんなこと言わないでください」というセリフがあったので、今後、そこまで背負って頑張らないでもいいという展開になるのかもしれませんが、今、このセリフを言って説得力があるのは、石田ゆり子さんしかいないと思うのです。

文/西森路代 イラスト/川崎タカオ