いつでも「旬の人」でいられる秘密

 黒柳さんは時代を問わず、常にネット上での話題やニュースになり続ける旬の人です。こうした人は、芸能界の中でも、そうは存在しません。でも、なぜそんなことが可能なのでしょうか。

 それは、ウソがないということに関係しているのではないかと思うのです。

 黒柳さんの著書『トットひとり』には、ザ・ベストテンの司会を依頼された時に、黒柳さんが一つだけ出した条件が「絶対にウソをやらないでください」というものだったと書かれています。その結果、番組放送日にスタジオに出演できない人のランキングを圏外に動かすこともなければ、事前録画を流すのではなく、予算のかかる遠方からの生中継でそのままに映し出し、それがこの番組の特色となりました。そして、数々のハプニングとともに、後世に伝えられるものになったのだと思います。

 前述の徹子の部屋芸人では、黒柳さんは芸人泣かせの存在として注目されました。それも黒柳さんが、ゲストの芸人さんに対してうわっつらの同調を一切せずに、ウソのない反応をしたことが関係しているでしょう。

 結果、徹子の部屋では、ウソのなさは視聴者を飽きさせず、いつも新鮮だったため、黒柳さんは同一司会者によるトーク番組の最多放送記録保持者になりました。もしも、徹子の部屋がうわっつらの同調を繰り返すトーク番組だったなら、安定はしていても、単調なものになってしまい、ここまでの長寿番組にはならなかったことでしょう。

 芸能にかかわる人ならば、自分がどのようにしたら人に飽きられないかを考えることはあるし、そのために試行錯誤をすることもあると思います。黒柳さんを見ていると、究極的には、ウソがないということが、飽きさせない一つの答えなのかもしれないとも思えました。