2015年の「M‐1グランプリ」(朝日放送)でぐっと知名度を上げたお笑いコンビ・メイプル超合金。一度見たら忘れられない強いビジュアル・インパクトのコンビです。今回はコンビの一人、カズレーザーさんに集まる共感について、西森路代さんが綴ります。

イラスト/川崎タカオ
イラスト/川崎タカオ

 2015年の「M‐1グランプリ」(朝日放送)でインパクトを残して以来、今やテレビで見ない日はないほど活躍しているメイプル超合金。安藤なつさんのエピソードにも興味を覚えつつも、今回はカズレーザーさんに焦点を当ててみたいと思います。

 では、なぜ今、カズレーザーさんが気になるのでしょうか。私が真っ先に思い浮かべるのは、いつも笑顔で、どんな人のどんな言動も受け入れてしまうところです。

 昨今は、取り繕うとバレてしまう時代。いい人を演じようとすればバレてしまうし、逆に悪ぶってもバレてしまいます。ところが、カズレーザーさんは、あのインパクトのある見た目と裏腹に、取り繕って変な人を演じたりしている感じも、いい人ぶって無理している感じも受けません。

 それに加え、昨今は、あまりにもいい人のイメージが先行すると、何か気恥ずかしかったりもする時代です。例えば、男性や芸人に顕著ですが、優しさよりも、過激さやギリギリさを追い求めるのがかっこいいとされる部分が長らくありました。だから、良いことを言いすぎると、バランスをとろうと露悪的になってしまうこともあるでしょう。「正論を言う」ことはちょっと恥ずかしいし、それが女性のためだと、もっと恥ずかしいという風潮も感じます。

 私がこうしたコラムで誰かのことを褒めすぎると、営業妨害になるかもしれないなとすら思います。本人は、そこまで聖人君子ではないと思っていて、褒められすぎると、ちょっと気恥ずかしいかもしれないし、残念な部分があるからこそ、自分のバランスがとれていると考えていることもあるでしょう。その上、昨今は一つのスキャンダルで人格まで否定されかねない時代です。あまりにも、清廉なイメージを持たれすぎると、「それ見たことか!」と手のひらを返される可能性だってあるから、褒めすぎることには気を遣います。