“正”の笑いで好感を得る

 この空気はフジテレビの『クイズやさしいね』『痛快TVスカッとジャパン』などにもつながっていると思います。フジテレビが内村さんに求めるのは、タイトルにもある通り「やさしさ」でしょう。『クイズやさしいね』はもちろんのこと、『スカっとジャパン』でも、最初は困ったことにあっていた人が最終的にはスカっとできるし、悪役俳優の良さにも焦点が当てられていて、ある意味やさしさと正義からできているような番組です。日テレの番組とフジテレビの番組が、奇しくもテーマを共有することになったのも、内村さんの存在があってこそなのではないかと思います。

 「正義」「やさしさ」に加え、2016年からスタートした『内村てらす』や『じわじわチャップリン』では、後輩に焦点を当てる役割も増えました。

 『内村てらす』は、文字通り内村さんが、後輩芸人たちを“てらす”番組です。番組紹介コメントに「世間でもっと評価されていい実力派芸人」をゲストに呼んでいるとありましたが、芸人選びにも愛を感じます。なぜならテレビは近年、芸人はショートネタでキャラクターが短い中でも伝わるような人を注目しては、消費して一発屋芸人として扱うことも少なくなかったからです。でも、この番組では、ときには二回分を使い、その芸人の魅力を知る芸人を呼んでじっくり一組の芸人に迫ります。瞬間的に人気がある芸人の人気を利用しようというのとは真逆で、その人の魅力を引き出そうという番組には、やはり「やさしさ」と「正義」を感じてしまいます。

 『じわじわチャップリン』は、これからという若手芸人のネタが見られる番組。こちらは深夜枠でやっていたものをゴールデンに移動するときに、内村さんが司会となりました。

 この二本は、有望株の芸人のネタを視聴できる番組ですが、こうしたネタ番組は昨今では少なくなっています。それ以上に現在、もっと見られなくなったのがコント番組ですが、内村さんは今時続けることが大変難しいとされているコント番組のレギュラーも持っています。