新人を困惑させる、男性社員の邪険な態度

 男性社員に邪険な仕事の頼み方をされて、出来上がった後も感謝されず、邪魔者扱いされるのは、誰にとっても、かなりつらいことなのではないだろうか。

 資料をまとめたり、清書をしたりすることは、新人にとっては仕事の全体像がつかめて意外と役に立つこともあると思う。しかし、机の整とんは違うのではないのかと思った。雑用がすべて悪いと言えないが、机の整とんは、いくら上司であっても、自分自身がやるべきなのではないだろうか。

 「必ず明日までにやらないといけない仕事」ということであれば、まだ納得もいく。翌日に来客があるとか、そこを何かに使うのであれば別だが(そうであったらなおさら新入社員一人に頼むべき仕事ではないと思うが)、やはり机の整とんは、「必ず明日までにやる仕事」の中に入れる必要はないだろう。

 仕事は感謝されるためだけにあるわけではないが、邪険に扱われたときの常子の表情を見ても、男性社員に邪険にされるたびに戸惑いを感じているのは一目瞭然だった。

女性上司の男性社員に対する「反抗心」

 もちろん、男性社員だけが悪いわけではない。女性社員たちも常子の書類をわざと落としたり、邪魔者扱いをしたりもした。また、早乙女も常子にタイプライターの使用を許可しないこともあったし、最終的には、手書きによる資料の作成や、他部署からの業務依頼を個人的に受けることを禁止した。

 しかし、早乙女がここまでこだわるのは、男性社員の言われるがままに常子が仕事を受けてしまうと、部署全体の効率低下を危惧していたのと、普段から都合よく女性社員を扱う男性たちに対しての不信感があったためだろう。

 少しステレオタイプ的な描かれ方だったと思うが、早乙女には必要以上に男性社員に反抗している部分があった。早乙女がまっすぐで不器用な性格だから、男性への対抗心と業務上での要求をごちゃませにしてしまったが、そうでなければ、もっと物事がスムーズに進んでいたかもしれない。

 常子が入ってきたことで起こった騒動は、結局、佃部長(斉藤洋介)が「手書きの清書もタイプライターに劣っておらず素晴らしい」と常子の仕事を認めることで、一件落着となる。そして、なぜか男性社員も早乙女たちもその一言で納得し、常子も次第に社員として受け入れられるようになっていく。

 しかし、その解決の仕方が少々強引に見えたため、モヤモヤする人は多かったようだ。常子と早乙女の価値観の違いから起こったこの騒動ならば、部長という権力のある男性の一言で解決させるのではなく、当事者同士で納得いく糸口を見つけたほうがよかったのではないか。そうでないと、本当の意味で分かり合うところに至らない。