これまで、ダウンタウンの世代であれば、芸人はテレビの世界でブレイクすると、冠番組を持ってMC側に回り、新ネタを作ることも披露することもぐっと減るという流れがあったと思います(もちろん、爆笑問題のように時事ネタを作り続けるこの世代の芸人もいますが)。ところが、今のアラフォーの芸人たちは違います。友近さんやロバートのように、今でも新ネタを作り、生き生きとそれをネタ番組で披露し続けている芸人も多くなりました。また、コントや漫才の賞レースの参加資格の年齢や芸人活動の年数制限もなくなり、またそこで一位になったからと言って、芸人として「あがり」ということもなく、芸人はずっと芸をし続ける人になりつつあります。先日のR-1グランプリで42歳で芸歴20年以上のハリウッドザコシショウさんが優勝を果たしたのも、象徴的です。

 松本さんは、前出の『ワイドなB面』で、「オリラジは売れるのが本当に早かったんですよね、だから、この先、まだまだ長いからどうすんのやと思ってたけど、けっこう手を替え、品を替えがんばってますよね」と彼らをたたえていました。これは、今の芸人が絶えず、新しい芸を見せていかないといけないことを表しています。アラフォー世代の芸人は、先輩たちがやっていた「あがり」のシステムがなくなって、試行錯誤しているところですが、30代のオリラジは、冠番組を持てばネタをしない側に回れるわけではないということを、身をもって知っている世代だと思います。でも、芸が好きで芸人になった彼らにとって、ネタを作り続けることのほうが自然な姿だったのではないかとも思えるのです。

 オリラジは結成から13年、テレビにデビューしてからわずか11年というキャリアです。でも、30代前半の彼らにとって、これからの芸能生活は、今までのキャリアの何倍もあるわけで、歌ネタでブレイクして、33歳でたどり着いた「PERFECT HUMAN」の境地から、今後はどう変化していくのでしょうか。それは、すごく楽しみにも思えるのです。

文/西森路代 イラスト/川崎タカオ