ストレス対処のコツは「9:1の法則」

 「ストレス」は一般的にもよく使われる言葉ですが、実は下記のように、3つに分解して考えることができるんだそう。

(1)ストレッサー:ストレスの原因となる、さまざまな刺激や出来事

(2)ストレス:ストレッサーに直面したことで生じる、緊張や混乱などの反応

(3)ストレス症状:ストレスを強く、あるいは長く感じている結果、心身に表れる症状や病気などのダメージ

 河合さんによると、ストレスを感じやすいことは問題ではなく、重要なのは、「ストレスやストレッサーにどう対処するか」ということ。

ストレスに対する対処法を、的確に、具体的に説明してくれる河合さん
ストレスに対する対処法を、的確に、具体的に説明してくれる河合さん

 「ストレスへの対処は、友人にグチを言ったり、趣味で発散したりして、比較的容易に対処できます。いわゆる『ストレス発散』です。しかしストレスへの対処だけでは、そもそものストレスはなくならない。ストレスの原因であるストレッサーへの対処が必要です」(河合さん)

 しかしながら、それは簡単なことではないと河合さんは強調します。「原因となるものを根っこから絶つのはかなり大変です。なので、一人で頑張ろうとせずに、人の力を借りるなどして解決していく必要があります」(河合さん)

 ただし、「すべてのストレッサ―に対処しようとは思わないください」と、河合さんは続けます。

 「私たちが感じる10のストレスのうち、9つはたいしたストレスではありません。気分を変えたり、視点を変えたりすることで、意外と大丈夫だと思えるからです。これがストレスへの対処ですね。でも、10のうちのたった1つ、『これだけは我慢できない』ということがあれば、その1つのストレッサ―対処に集中してください。1つに対処できると、それがきっかけとなり、その他のストレッサ―にも対処できるようになります。10のうち、まずは1つ。この『9:1の法則』が、うまくストレスと付き合うコツです」(河合さん)

人生の雨をしのぐ「傘」を持とう

 一方で、河合さんは「ストレスは人生の雨」だと言います。

 「雨が降らなければ、草木や作物が育たず、私たちは雨乞いをするようになります。これと同じで、誰もが『ストレスがなければいいな』と思いますが、ストレスのない状態に慣れてくると、人は刺激(=ストレス)を求めるようになるのです。また、『私の人生は雨ばかり』と言う人もいますが、この地球上で、24時間365日、ずっと雨が降り続けている地域はありません。いつか必ず、晴れる時がやって来ます。生きていれば、必ずストレスはあり、人生の雨は降るものです。だから重要なのは、雨をしのぐ『傘』を持つこと。傘さえ持っていれば、雨が上がったときにグンと成長することができます」(河合さん)

会場にいる女性たちも、河合さんの話に真剣に耳を傾けています
会場にいる女性たちも、河合さんの話に真剣に耳を傾けています

 現代は、情報化社会。この先、私たちのストレスが減ることはなく、むしろ情報の洪水の中で、ストレスは増える一方だといえます。しかし、「覚悟はしてもがっかりはしないで」と、河合さん。

 「心がマイナスの方向に引っ張られても、プラスの方向に引っ張り返す力を持てばいい。つまり人生の雨をしのいで、心を元気にする傘をたくさん持つようにすればいいのです」(河合さん)