「ごはんを食べなければ痩せる」は幻想

 次にご登壇いただいたのは、日本アンチエイジングダイエット協会理事で管理栄養士でもある伊達友美さん。毎日のように悩みを抱える人の食事内容を指導している伊達さんは、どんな食事が理想的かについて、より具体的な話をしてくれました。

軽快なテンポで、冗談を交えながら講演する日本アンチエイジングダイエット協会理事・伊達友美さん
軽快なテンポで、冗談を交えながら講演する日本アンチエイジングダイエット協会理事・伊達友美さん

 まず、伊達さんは問題がある食事内容の事例を説明。20歳・164cm・98kgとかなりふくよかな女性のケースで、彼女のある休日、平日の食事はこんな内容でした。

●20歳・164cm・98kgの女性のある日の食事
休日:
【朝・昼食】ナポリタン(冷凍)、ハムチーズパン、お茶
【間食】抹茶のかき氷
【夕食】焼きソバ、小龍包5個、エビチリ、梅酒

平日:
【朝食】コンビニおにぎり1個、菓子パン1個
【昼食】外食/ホウレン草のクリームパスタ、サラダ、辛味チキン
【夕食】冷やし中華

 「身長と体重を聞くとすごく食べているだろうというイメージだと思いますが、驚くほど多いかというと、そうではありません。2日間の摂取カロリーの平均は2076キロカロリーで、体型から想像するカロリーよりも少ないでしょう。こうした体格だと3000キロカロリーは食べているだろうと思う人が多いのではないでしょうか。別の30代170cm・124kgの女性も1日の摂取カロリーは平均2437キロカロリーでした。注目したいのは、20代の女性が2日間で食べたごはんはおにぎり1個だけだということ。30代の女性も1日に子供茶碗半分~1杯しかごはんを食べていませんでした。これを見れば、ごはんを減らしたからといって痩せないことがよく分かります」(伊達さん)

 日本人のお米の消費量は年々激減。農林水産省の発表によれば、日本人一人当たりのお米の消費量は、1962年度に118.3kgだったものが、2015年度には54.6kg(概算)と半分以下になりました。「ところが、それで日本人が痩せたかというとそうではありません。肥満者や糖尿病、高血圧の人が増えているのです」と伊達さんは指摘します。

 「2016年に食事指導をした方々のデータを整理して問題点をまとめたところ、一番の問題はお米不足であることが分かりました。約9割の人にお米が足りていなかったのです。その半数は40歳以上で、メタボリックシンドローム該当者やその予備軍で特定保健指導を受けなければいけない人でした」と伊達さん。ちなみに、摂取不足を心配する人が多い野菜が不足している人は約12%に過ぎなかったと言います。