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「給与明細書は正しい」という思い込みの罠

2016年12月13日

「離職票は出せない」と言われたら 退職時に雇用保険を遡って加入することはできるのか

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 こんにちは。「ワークルールとお金の話」の社会保険労務士 佐佐木由美子です。一身上の都合により、年末に退職予定の乃利子さん。辞めるときになって、大変な事実が発覚しました。

まさかの「うっかり忘れ」

 個人クリニックの医療事務員として、2年近く働いていた乃利子さん。30歳を目前に、別の仕事にもチャレンジしてみたいと、転職のために今のクリニックを年末で退職する予定です。

 もともと退職金制度はありませんでしたが、失業手当があるから何とかなるだろう、と思っていました。ところが、離職票を発行してほしいと伝えると、院長が「申し訳ないが、離職票は出せない」というのです。

 不審に思った乃利子さんが理由を訊ねてみると、信じられない答えが返ってきました。なんと、入社したときに、雇用保険の手続きをうっかり忘れていた、というのです。

「そんな……。だって、給与から毎月保険料を天引きしていましたよね?」

医療事務員として働いていた乃利子さんにまさかの事態が(写真はイメージ) (C)PIXTA

 こうした保険手続きや給与計算は、院長の奥様がすべて対応していたそうです。社会保険の手続きはされていたので、健康保険証は手元にありました。奥様は、雇用保険の手続きを後から行うつもりでいて、そのままになっていたことに気づかなかったといいます。

 失業手当(正式には「基本手当」といいます)は、雇用保険の被保険者で一定の要件に該当した場合に支給されます。乃利子さんは要件を満たしており、失業手当をもらえる十分な資格がありました。

 院長からは、雇用保険料として給与から天引きしていた保険料を返金し、退職金として10万円を支払うので、それで何とか勘弁してほしい、と言われました。奥様から何度も「ごめんなさい」と謝られました。

 院長夫妻に悪気がないことは乃利子さんも理解しています。しかし、「本当だったら、もっと失業手当がもらえるはずでは?」と、どこか納得のいかない様子です。

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Profile
佐佐木 由美子
佐佐木由美子(ささき・ゆみこ)
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン【サロン・ド・グレース】を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌等メディアで活躍
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