産休・育休中の方は必見!

 夫婦ともにフルタイムで働く世帯が増えていますが、この場合ある程度の収入が双方にあるため、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」(年収103万円超141万円未満等の要件あり)を受けることができないケースが多いといえます。

 そのため、あまり自分たちには関係ないと思いがちですが、例外があります。それは、産前産後休業や育児休業を取っている場合。産休や育休中は、給与がゼロになる人は珍しくありません。そのため、年収が大幅に減って、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられる場合があるのです。

 たとえば、毎月の給与が22万円としましょう。今年の5月から産休に入り、その後育休を取る場合、年間収入は約88万円となるため、夫は配偶者控除を受けることができます。

産休や育休を取っている方は、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられるケースも (C)PIXTA
産休や育休を取っている方は、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられるケースも (C)PIXTA

 このとき、よく誤解されてしまうのは、「出産手当金」などの給付金を公的保険からもらっている場合です。出産手当金は、出産のために働けず給与を受けられないときに、健康保険からもらえる給付金ですが、これは非課税となります。育児休業中に雇用保険からもらえる「育児休業給付金」も同様に非課税です。

 このため税法上は、年間収入に加える必要はなく、正社員であっても、実際の妻の給与額が年収103万円以下であれば、夫は配偶者控除を受けることができるわけです。

 年の半ばから産休に入るようなケースでは、配偶者控除は適用できなくとも、配偶者特別控除を受けられる場合があります。状況に応じて、年末調整の申告書類を作成するようにしましょう。

 配偶者控除・配偶者特別控除を受ける場合、民法の規定による配偶者であること(内縁関係はNG)や他の人の扶養家族となっていないことなど、一定の要件があります。さらに配偶者特別控除は、夫の年間所得金額が1000万円以下であることも要件となりますのでご注意ください。

 また、「年末調整に間に合わなかった」「知らなくて配偶者控除を受けなかった」という場合も、確定申告で5年間遡って還付申告をすることは可能です。