こんにちは。「ワークルールとお金の話」の社会保険労務士 佐佐木由美子です。出産のために退職する場合、知っておくと得する情報をチェックしましょう。

出産育児一時金はどこからもらう?

 出産のために、やむを得ず退職する方・・・もいらっしゃることと思います。ちょうど先程も、退職予定の女性社員からご相談がありました。出産退職で多いご相談は、退職後の健康保険はどうなるか、また給付金はもらえるか、といったものです。

 こうした問題は「難しいから」と後回しにしてしまうと、知らないうちに損をしてしまうこともあり得ます! 事前にポイントをおさえて、しっかりと手を打っておきましょう。

 出産するために退職する場合、すぐに働くことはできませんので、社会保険はご主人の扶養家族となるのが一般的です。

 この場合、ご主人の勤務先の会社へ、妻がまもなく出産退職して扶養家族となることを伝えてもらい、健康保険と国民年金第3号被保険者の手続きを行ってもらえるように準備しておきましょう。こうすることで、退職後すみやかにご自身の新しい保険証を受け取ることができます。

 出産に関しては、子ども1人につき、原則として42万円の「出産育児一時金」を健康保険からもらうことができます。これは、自分の健康保険から受け取れるのか、それとも夫の健康保険から受け取れるのか・・・もしかしたら、両方から!? といった疑問があるかもしれません。

 退職日までに、継続して1年以上健康保険の被保険者期間があり、退職日翌日から6か月以内の出産であれば、資格喪失後の継続給付として、退職前の会社の健康保険から給付を受けることができます。

 つまり、要件を満たしていれば、自分が加入していた健康保険組合に請求することもできますし、夫の健康保険組合にも請求することができるのです。ただし、重複してもらうことはできませんので、いずれかひとつを選択しなければなりません。

 そこで、ぜひ検討したいのが、どちらの健康保険を利用した方が、よりメリットを受けられるか? ということ。社内結婚であれば同じ健康保険なので比較する必要はありません。チェックしたいのは、夫婦でそれぞれ別の健康保険組合に加入している場合です。

 というのは、健康保険組合によって、給付額に差があるからです。付加給付が受けられる健康保険組合では、42万円にプラスして10万程度もらえる場合もあるため、事前にそれぞれ給付額を確認しておくとよいでしょう。

 出産育児一時金には、出産後に請求するオーソドックスな方法のほかに、直接支払制度や受取代理制度もあります。これは出産する病院によっても利用が異なりますが、直接支払制度を利用すると、出産育児一時金の請求を本人に代わって医療機関が行い、直接医療機関にお金が支払われるので、出産費用は42万円を超えた差額を支払えばよく、非常に便利です。

 もし、妊娠中に自分の健康保険で直接支払制度の利用を医療機関に申し出ているものの、夫の健康保険から出産育児一時金を受け取りたい場合は、早めに医療機関に相談して手続きを確認しておきましょう。