転職先を辞めてしまう場合

 再就職先が決まっている場合で、失業手当をもらう予定がないとしても、離職票を交付してもらった方がよい理由が二つあります。

 その一つは、再就職先を短期間で辞めてしまう可能性があることです。入社したものの新しい職場が肌に合わず、自己都合で退職するような場合、退職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間(※)が通算して12カ月以上(事業主都合による場合は6カ月以上)なければ、失業手当を受けることができません。

※退職日から1カ月ごとに区切った期間に給与の支払いの基礎日数となった日が11日以上ある月を1カ月とします。

 つまり、1年足らずで自己都合により会社を辞めてしまう場合は、失業手当の受給資格が満たせないことになります。ただし、一定の要件を満たしている場合は、前職の被保険者期間と通算することができます。そのための要件は、退職日から再就職の日までの空白期間が1年以内であるということ。さらに、ハローワークで前職の退職時に求職の申込みをしていないこと。こうした要件をクリアしていれば、前職で働いていた期間を通算できるため、転職先の被保険者期間だけでは失業手当の対象にならない場合も、受給資格を満たせる可能性が高まります。あるいは、被保険者期間を通算することで、より多くの失業手当がもらえる場合もあります。

 前職の期間を通算するには、前職を退職するときに交付された離職票をハローワークに提出する必要があります。実際に、通算することで、失業手当をもらえることができた人をこれまで何人も見ています。

 一方で、通算できることを知らないと、転職先で「すぐに辞めた場合、失業手当はもらえない」などの言葉を鵜呑みにして、チャンスを逃してしまった人もいます。