業務時間中の私的チャットは控えましょう

 ちなみに、就業時間中に1日2通程度の私用メールを送受信していた「グレイワールドワイド事件」では、会社で明確に私用メールを禁止していなかった上、頻度も社会通念上相当な範囲内にとどまり、職務専念義務には違反していないものとして、普通解雇を無効にしています(東京地裁 平成15年9月22日判決)。

 1日数回程度の私的なやり取りの場合、職務専念義務違反とまでは捉えられないとも言えますが、だからといって、会社から貸与されたパソコンで就業中に私的メールやチャットを日常的に行うことは、会社のワークルールにもよりますが、通常は控えるべきでしょう。

 なお、職務専念義務違反は、債務不履行に当たりますが、懲戒処分を行うには就業規則等に違反し、職場秩序を乱したと認められる場合に限られます。

会社貸与のパソコンで就業中に私的メールやチャットをすることは基本的に控えましょう (C)PIXTA
会社貸与のパソコンで就業中に私的メールやチャットをすることは基本的に控えましょう (C)PIXTA

 「ここまでは大丈夫」だと考える基準は、人それぞれです。新たなツールや制度を導入する際は、会社側からきちんとルールや運用方法などについて説明・指導を行うことが大切です。社員側もそれらを守るように意識することで、職場秩序が守られ、働きやすい環境が整えられると言えるでしょう。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA